アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
最後に笑うのは?
-
仕事に行く前に繭の所に来ていた
用事はすぐに終わり、そのまま仕事場に向かいポケットを押さえて微笑んだ
退屈な仕事はそれなりに暇潰しが必要かもね
でも、その必要も無くなるけど
相変わらず外は吹雪いていた
見ているだけでも凍りそうだな
寒さを感じなくても記憶は残っているしね
その後、これと言った仕事も無くぼんやりと窓の外を見つめていた
「へぇ・・・ここが新しい仕事場か」
「翔」
「でも、せっかくこんなに暖かい部屋なのに今の楓には関係ないね」
やはりそうだったんだ
「聞いてもいい?」
「何?」
「翔がいつも食べている豪華な食事やスイーツは美味しい?」
「美味しいって何かな」
「えっ?」
「口に入れて食べる事だけが美味しいと誰が決めた?」
「・・・・・・・・・・・・じゃ」
「食事なんて見て楽しむものだろ?」
「・・・・・・・・・・そう」
「命に比べれば味覚なんて安いものだろ?」
「そうだね」
「そうだ和海、今夜はあの部屋で三人で遊ぼうよ」
「はい」
あの部屋?
どこの事だろう
「じゃ、行くね」
「うん」
燕羽の事については何も言わないんだね
翔にとってはどうでもいい事なのかな
退屈な時間を過ごし、部屋に戻ると氷龍の姿は無かった
「楓」
「うん」
「今日から一緒に食事する相手がいなくなったね」
「そうだね」
「一緒に食べよう」
「でも、空腹感は無いから」
「そうかもね」
「うん」
「でも、空腹感が無くても暇潰しに食事がしたくなるさ」
「その時はお願いしようかな」
「勿論」
今夜のメニューはムニエルかな
相変わらず豪華だね
でも、翔にとって食事は退屈しのぎの暇潰しなんだ
何となく分かったような気がした
小さな窓から見える空は珍しく晴れていた
星が綺麗なのは月が針のような三日月だから
「楓が退屈そうだからそろそろ遊ぼうか」
「はい」
食事を済ませた翔がゆっくり立ち上がり、俺を見つめた
「どこへ行くの?」
「そうだな・・・今夜は星が綺麗だから星が見える場所かな」
「わかった」
どこに行くのかわからないので、二人に着いて行く事にした
どうやらバスルームではなさそうだ
「図書室?」
「ここは通過点」
「そう」
図書室の中に入り、隅の本棚に向かい黒い表紙の本を抜くと・・・・
「驚いた」
「面白いでしょ?かなり昔に作られたらしいけど」
「そうなんだ」
本当にこんな仕掛けの隠し扉が存在する事に驚いた
その扉を抜けて今度は石造りの階段を上った
しばらく階段を上ると、漸く目的地が見えて来た
「どうぞ」
「うん」
翔が開けた扉は何となく重そうだった
そして部屋の中に入ると
・・・・・そこは外が見える全面ガラス張りの部屋だった
「すごい」
「昔、天体観測をする為に作られたらしいよ」
「確かに星がよく見えるね」
まるで宙に浮いているみたいな部屋だった
多分、外との視界を遮る壁がないからかな
そう言えば、病院の帰りにヘリから見えた塔みたいなやつがここなのかも
最初は監視塔かと思っていたけど・・・・・
「じゃ、最初は二人で俺を満足させて」
「はい」
「うん」
古い割にはよく手入れされた部屋だった
ベッドはないけど、床の上には豪華な毛皮が敷かれていた
その上に横たわる翔はまるでどこかの王様みたいだった
「来て」
「うん」
でも、王様かな?
ここではきっと翔が王様なんだろう
差し出された手を握りしめながら微笑んだ
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
16 / 307