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「ご馳走様」
「おう」
「俺、りんご大好き」
「そっか、そんな顔をしてたしな」
「でも、この辺で売ってるりんごは好きじゃない」
「まぁ、美味しいけどやっぱりりんごは木から取ってそのままかじるのが一番美味い」
「うんうん、そう思う」
しかし・・・・
何だろう
最初のイメージは堅苦しくて
2番目のイメージは狂犬
そして今は可愛い天使
一体本当の姿はどれなんだろう
「あっ、俺は幻月だ、よろしくな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「もしかしたらまた会うかも知れないだろ?」
会うのかな・・・?
「俺は翔」
「翔だな、覚えたぞ」
「・・・・・・・・・・・・・うん」
「ちなみに仕事は飲食関係だ」
「そうなんだ」
「そそ、コックをやってる」
「何料理?」
「何でも」
「何でも?」
「イタリアンでもフレンチでも和食でも」
「へぇ」
フランスに2年、イタリアに1年修行に行ったけど、結局美味しい物なら何でもいいと思ったから何でもある店だった
「翔は学生みたいだな」
「高3」
「そっか、と言うか帰らなくてもいいのか?」
「帰りたくないからここにいるだけ」
「・・・・・・・・・・・そっか」
帰りたくない・・・か
昔の俺みたいだな
「理由聞かないんだ」
「無理に聞くような話じゃないしな・・・・話したくなったらいつでも聞くよ」
「うん」
う~ん
このまま別れるのはあれだな
また会いたいけど
なんか、こいつ心配だし
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「どうぞ」
翔の携帯が鳴った
少し離れた場所で誰かと話していた
「今日は帰ります」
「ああ、じゃ駅まで」
「タクシーで帰るから」
「じゃ、乗り場まで」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「心配だし」
「どうして?」
「どうしてって・・・・どうしてもだ」
「わかった」
可愛いのはりんごを食べている時だけか?
そのままほぼ無言で歩き、タクシー乗り場までやって来た
そう言えば、さっきもここに来たな
「じゃ、さようなら」
「ああ、気をつけてな」
「うん」
結局何も聞けないまま別れてしまった
また運があればどこかで会えるかも知れないな
俺は強運なんだ
合コンはボロボロだったけど・・・・・
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