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空港に着いたのは夕方
とにかく掃除をしている人を捜した
「あの、お仕事中すみません」
「はい」
「繭と言う人が仕事をしているはずですが」
「ああ、あの暗い子ね」
「今日は?」
「2日前に仕事中に倒れてクビになったらしいわよ」
「えっ・・・・・」
そんな・・・・・・・
また捜せないままなの?
どうしたら・・・・・・
眩暈がする
俺も倒れてしまいそう
そんな俺の体を支えるように抱きしめ、幻月が話を続けた
「住所とかわかりますよね?」
「わかりますけど・・・・勝手に教えるわけには」
「彼は兄なんです」
「えっ?」
幻月が俺の代わりに話をしてくれた
住所・・・・・そっか、仕事をしていたのならわかるはず
「今、主任を呼んで来ますので」
「申し訳ない」
そして面倒臭そうな顔をして主任がやって来た
「何か?」
「実は、繭と言う人を捜しているのですが」
「ああ、やはりついに犯罪を?いつも暗くて何を考えているのかわからない奴だったし・・・・もしかして薬?」
「いえ、ずっと捜していた弟なんです」
「弟?しかし履歴書に兄はいなかったはず」
「昔、家庭の事情で離れて暮らしていたんです」
「へぇ・・・・」
「お願いします、住所を」
「しかしねぇ・・・・・」
こいつ、意地悪だ
あいつと同じ匂いがするし
諦めかけていた俺
でも、幻月は「大丈夫」と言う感じで俺を支えていた手に力を込めた
「あのさー、あの子がまだ16だと知って使っていたのかな?確かここの仕事は18からだよね?」
「えっ・・・16?しかし履歴書には18と」
「確認不足だよね、いいの?」
「そ、それは・・・・」
「上に知れたら貴方もクビかもね」
「・・・・・・・・・・・・わかりました、こちらへ」
「ああ」
そして幻月は繭の住所を聞き出してくれた
「この件は・・・・」
「言わないよ、面倒臭いし」
「お願いします」
そして車に戻り、幻月は携帯を取り出した
「どこへ?」
「あんな奴が上司じゃ繭と同じような奴がこれからも出てくるかも知れないだろ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
面倒臭いと言っていたはずなのに、会社に電話をして事細かに話をして携帯を切った
「面倒臭いんじゃなかった?」
「ムカつくだろ?いきなり犯罪者呼ばわりするような奴だし」
「うん」
「あんな奴は人の上に立つ人間じゃないんだ」
「だね」
「でも、住所も聞き出せたしこのまま行こう」
「うん」
もうすぐ
もうすぐ会えるんだ
そして・・・・・・
「こんな所に住んでいたなんて」
今にも崩れそうなアパート
環境も悪い
「一人で生きて行くって辛いよな」
「うん」
そしてメモに書かれていた201号室に向かった
床は木造で、変な匂いがする
歩く度にギシギシと軋む床
「ここだな」
「うん」
「じゃ、ノックするぞ」
「・・・・・・・・・・・・うん」
期待と不安
繭は俺を覚えているだろうか?
薄いドアをノックしてしばらく待っていると、ドアが開いた
「誰?」
「すみません、ここって男の子が住んでいませんでしたか?」
「ああ、繭?」
「はい」
「あいつなら昨日出て行ったよ」
「えっ・・・どこに?」
「知るかよ、いつも暗い顔してさ・・・・ここには後二人住んでいるから少しは広くなって助かってんだよ」
「知り合いですか?」
「いや、俺達みたいなのが集まってこの部屋を借りてるんだ、安く済むしね」
「そうですか」
「繭はここを出て行った奴の知り合いで仕方なくね」
「どこに行ったかは?」
「知るかよ」
「そうですか・・・・・ありがとうございました」
「ああ」
今度こそ倒れそうだ
もう手がかりは残っていない
どこをどう捜せばいいのかすら・・・・・
「元気出せ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ごめんな、もう少し早く話していれば」
「ううん、幻月は悪くないよ」
「でもさ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・平気」
「翔」
幻月は悪くない
でも、同じように落ち込んでくれていた
「どうする?」
「少し考えたいから駅に行きたい」
「駅?」
「最初に会った場所」
「ああ、わかった」
これからどうしよう
何も浮かばない
このまま会えないままなんだろうか・・・・・
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