アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
その頃
-
「繭、サラダも食べろよ」
「野菜は嫌い」
「だめ!」
「翔も残してる」
「お、俺はいいの!」
「ダメ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
どうやらお互い嫌いなモノが同じらしい
見事にニンジンを残してるしね
「もうすぐ誕生日だね」
「だな」
「何かプレゼントしたいけど」
「いいよ、繭が一緒に住んでくれているのがプレゼント」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「だろ?」
「うん」
誕生日か
もうすぐあいつらに仕返しが出来る
「翔」
「ん?」
「テレビつけてもいい?」
「ああ、いいぞ」
「うん」
でも、この時間は何もやっていないと思うけど
リモコンをいじりながらCMで手を止めた
「ん?このCM好きなの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・曲が」
「ああ、誰だっけ?すごくいい感じの曲だよな」
「うん」
あれ?
何だか様子がおかしいような
「繭、どうした?」
「僕の話、聞いてくれる?」
「ああ」
繭から話をしてくれるのは初めてだ
でも、いい話ではなさそうだけど
「実は、屋敷を飛び出した後僕を拾ってくれた人がいたんだ」
「えっ?」
「そこはすごく田舎で僕はお金を持っていなくて・・・・どこにも行くところが無かったし、その人はいい人だと感じたから着いて行く事にした」
「そうか」
「その人との生活はすごく楽しかった・・・・・すごく優しくしてくれたしいろいろな事を教えてくれた」
「うん」
「僕が家事をして、その人は仕事に行く毎日だった」
「その人は?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「繭?」
「その人はバンドをやっていて、ある日マネージャーが家にやって来たんだ」
「うん」
「そして言われた・・・・・海外デビューをするから僕が邪魔だって」
「は?」
「マスコミに知られたら彼に迷惑がかかるからって」
「出て行けと言う事?」
「そう」
「何だよそれ!その彼には話したのか?」
「ううん・・・・黙って出て来た・・・・そしてあの場所に行ったんだ」
「駅の?」
「うん」
「そうだったんだ・・・・その彼とは恋人同士だったのか?」
「ううん・・・でも、僕は好きだった」
「そっか」
「その彼がさっきのCMの人」
「ええっ!!」
「すごく有名になっちゃった・・・・僕にはもう手の届かないところまで行ってしまった」
「・・・・・・・・・・・繭」
「だけど、成功した事は素直に嬉しいんだ・・・・僕があのままいたら海外には行かなかったと思うし」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「翔だけには話しておきたかったから」
「そうか・・・・・うん」
驚いたな
まだそんな過去があったなんてマジで驚いた
だから時折、すごく切ない表情をしていたのか
そういう事だったのか・・・・・・
「繭」
「ん?」
「散歩でも行こうか」
「でも、外は」
「人が多いところなら安心だろ?移動はタクシーで」
「うん」
「あの駅前に美味しいアイスの店があるんだ」
「食べたい」
「よし、行こう」
「うん、行く」
気分転換も必要だ
念の為にマンションまでタクシーを呼んで、二人で駅に向かった
「りんご」
「りんごだな」
そしてあのベンチに座り、屋上の看板を見ながらアイスを食べた
街中、さっきのCMの曲ばかり流れていた
「大丈夫か?」
「平気」
「そっか」
繭にしてみれば、辛い曲なんだろうな
嫌でも思い出してしまうだろうし
「寒っ!」
「アイス食べたし」
「だな~」
と言うか、どんなやつなんだろう
物静かなやつなのかな
「ちなみにだけど」
「うん」
「その彼ってどんな人?」
「・・・・・・・・・・ん~」
考えてる
めちゃ考えてる
「ピアスがたくさん」
「えっ・・・?」
「舌にも」
「ええっ??」
「髪は黒髪で、いつも結んでた」
ち、ちょっと・・・想像と違うぞ
話だけだとかなり怖いけど
「優しい?」
「うん」
「そうか・・・・う~ん」
わからない
顔が全く浮かばない
浮かんだのは鬼・・・・なんて言えない
「何か暖かい飲み物買ってくるから絶対動くなよ」
「わかった」
「もし、変な奴が来たらすぐそこの警察に」
「うん」
目の前に派出所があるし、大丈夫だろう
急いで自販機に向かい、飲み物を買うことにした
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
47 / 307