アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
-
「はぁ・・・・・」
ついさっきまで隣に繭が居た
今夜のご飯は何だろうと二人で話しながら笑っていたのにね
今は一人
すごく寂しい
でも、繭が幸せならそれでいい
会えなくなるわけじゃないんだし、俺も元気出さないとね
「・・・・・・・って、雪で追い打ちかよ」
空を見上げながら落ちてくる雪をぼんやり見つめていた
帰っても一人
幻月も何時に帰るかわからない
結局俺はここで昔のようにりんごの看板を見つめているなんてね
しかも雪が本格的に降ってきたし、髪と肩に雪が積もって来た
「迷子か?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「違うのか」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
誰?
でも、どこかで見た事があるような・・・・・気のせいかな
「一人なら少し頼まれて欲しいんだが」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・何?」
「そこのカフェに売っているケーキを頼まれたんだが一緒に来て欲しい」
「何で」
「・・・・・・・・・・・・恥ずかしいからだ」
ホントに恥ずかしそうだし
スーツを着ているからリーマンかな
でも、普通の人には見えないな
顔が整っているからか?
瞳が金色だ・・・・・・綺麗
「いいよ」
「助かる」
そのまま立ち上がり、雪を払おうとしたらハンカチで髪を拭いてくれた
「・・・・・・・・・・・・・ありがとう」
「行こう」
「うん」
確かにここは女の子が多い店
ケーキも美味しいと言う話は聞いたことはあるけど、食べた事は無い
「味がわからないから味見を頼めるか?」
「・・・・・・・・・・・・・うん」
ケーキを買う付き添いだけのつもりが・・・・・・
「美味しい」
「そうか」
何故かアップルパイと紅茶でお茶をしていた
しかも、知らない人と二人でね
「そうだ、自己紹介代わりの名刺だ」
「・・・・・・・・・・・・・・」
そのまま名刺を受け取り、驚いた
この人・・・・あいつの会社の秘書だった
だから見た事があるんだ
「冬矢さん・・・・・・」
「君は?」
「翔」
「翔・・・・・」
「何?」
「いや、確か社長の息子も同じ名前だったような気がして」
「へぇ」
「まさかな」
「ちなみに苗字は雨木」
「えっ?」
「クソ野郎の名前は清三郎」
「まさか・・・・・社長の?」
「言っておくけど、俺は父親だとはみじんも思っていないから」
「成程」
「貴方、あいつの秘書?」
「そうだな」
「へぇ・・・・・ケーキは愛人用?」
「そんなところだ」
「秘書の仕事も大変だね」
「余計なお世話だが、家には戻らないのか?」
「戻らないよ」
「そのほうがいいな」
「どうでもいい」
「ついでに教えておくが、警察には届けていないらしい」
「だろうね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「何?」
「いや・・・・そろそろ次の転職先を考えておくべきかなと」
「どうして?」
「会社の顧問弁護士から聞いたんだよ・・・冗談かと思っていたが、お前の顔を見て本気だと感じた」
あの野郎
誰にも言うなと言ったのに
「乗っ取るらしいな」
「会社は欲しくない・・・・ただ、あいつ達を苦しめたい、それだけ」
「それは勝手だが一つ忘れるな」
「何を?」
「会社には家族を護らなければいけない人間もたくさん仕事をしている・・・・・親子の確執で彼らの家庭を壊すような事はいただけないな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「会社を乗っ取った後はどうするんだ?お前が社長になるのか?」
「そこまでは考えていない」
「子供の考えだな」
「黙れ」
「社長がどうなろうと知った事ではないが、会社の為に頑張っている人間の事はしっかり考えてから行動しろ・・・・それが出来ないのなら、俺がお前の計画をぶち壊す」
「ふざけるな・・・・・・何も知らないくせに・・・・・」
「知らないよ、だから何だ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ついでに教えておいてやるが、あの弁護士は病気持ちだぞ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「相当遊んでいるらしいしな・・・・・治る病気ならいいが・・・・」
嘘・・・・・
そんな・・・・・馬鹿な
「顔色が悪いな」
「黙れ」
何こいつ
ムカつく
でも、間違った事は言っていない
「もう少し自分を大切にしろ」
「今更」
「あの弁護士は間違いなくこれからお前を脅してくるぞ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「そんな手で乗っ取るより正当な乗っ取り方があるだろ?」
「あんたは一体何?何がしたいの?」
「さぁ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「面白そうだな・・・・そろそろ秘書にも飽きてきたし」
「何言ってるの?」
「その思いつめた顔が気に入った」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ちなみに病気と言うのは嘘だ」
「お前・・・・・・・」
「あんなおやじにその体を売ったのか・・・・・馬鹿だな」
「黙れよ」
「だから子供なんだ」
確かに子供かも知れない
会社を奪えても、その先の事まで考えていなかった
「協力しようか?」
「どうして?」
「お前が気に入ったからだ」
「意味がわからない・・・・それに俺には恋人がいるしね」
「ビジネスだろ?報酬はその体で手を打つ」
「馬鹿じゃない?」
「俺に任せれば100%会社はお前の物に出来るし、弁護士も解雇できる」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
どうしよう
でも・・・・幻月を裏切るのは嫌だ
「恋人を裏切りたくない・・・・そう顔に書いてあるな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「じゃ、こうしよう・・・・協力はする、報酬はお前からくれるまで待つ・・・どうだ?悪い条件ではないはずだ」
「何それ・・・・明らかにあんたが不利じゃない」
「そうでもないぞ」
「どうして」
「それは秘密だ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「どうする?お前の方法で弁護士に金をせびられ続けるのか?それとも俺に任せるのか今決めろ」
「今・・・・・・」
「時間が無い」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
報酬は俺が決める
だったら・・・・・・・・
「わかった、任せる」
「では確認だ、お前がやりたい事は?」
「あいつから全て奪いたい・・・・家も会社も財産も」
「では、会社経営は任せてもらっても?」
「うん」
「丁度、双子の弟が日本で会社を立ち上げるので合併と言う形で話を進めるぞ」
「合併?」
「株を買い占めるだけだ」
「買い占めるって・・・・・」
「会社は社長が代わるだけだ・・・・弟が信頼している人間に任せると思う」
「うん」
「屋敷と財産も全て奪ってやるよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「今日付き合ってくれたお礼だ」
「俺は何をしたら?」
「そうだな・・・・俺の事でも考えていろ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・クスッ」
「お前は笑顔の方がいいぞ」
「話の展開についていけないだけ・・・・あとは呆れてる」
「もし、弁護士から連絡が入ったら連絡を」
「わかった」
そんな話をしていたら携帯が鳴った
すごいタイミング・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・・出ろ」
「・・・・・・・・・・・・・弁護士から」
「会って話がしたいと言われたら、場所を指定して呼び出せ」
「どこに?」
「ロイヤルホテル」
「わかった」
そして冬矢の言った通り、弁護士は会って最終打ち合わせがしたいと言って来た
だから俺は言われた通り、ホテルにそいつを呼び出す事にした
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
49 / 307