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幻月遅い・・・・
もう10時なのにどうしたんだろう
家に帰ると俺は罪悪感で膝を抱えて暗い部屋で考えていた
何て言えばいい?
いきなり繭もいなくなって、俺まで消えたら・・・・
どうすれば・・・・・・いいんだ
「ただいま」
帰って来た
慌てて明かりをつけて涙を拭った
「お帰り・・・・お客様?」
「あ、ああ・・・胡月だ」
「こんばんは」
「こんばんは」
「繭はどうした?夕食は食べたか?」
「繭は、恋人の家に行ったんだ」
「えっ?」
「実は今日、二人で街に・・・・そこで繭の恋人と再会して」
「恋人って・・・・まさか」
「楓」
「あのミュージシャンの?」
「うん、お互い誤解をしていたみたいで・・・・繭にどうしたいと尋ねたら楓と暮らしたいと」
「・・・・・・・・・・・・・・・そっか、幸せなんだな?」
「うん」
「ならいい・・・・うん」
「もう一つ話が・・・・」
「何だ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「どうした?」
「うん」
様子がおかしいな
全く笑わないし、何があったんだ?
「翔?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「俺はベランダで煙草を」
「すまない」
胡月は話しにくそうな翔を見て、席を外してくれた
「どうした?そんな顔して」
「・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい、幻月」
「えっ?」
「幻月の事は好きだよ・・・・・でも、その好きは何か違うんだ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「俺、好きな人がいる」
「えっ・・・」
「ごめんなさい・・・・・いろいろお世話になっておいて勝手だよね」
好きな・・・人?
「翔はその人といる方が幸せなんだな?」
「・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい」
「わかった、翔が幸せになるのならそれでいい」
「えっ?」
「うん・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
会話が続かない
悲しいけどどこかホッとしている自分もいた
そして胡月が戻って来た
「翔君だっけ?」
「はい」
「この際だから話しておくよ」
「えっ?」
「俺はこいつが好きだ・・・・だからありがとう」
「・・・・・それって」
「だからこいつの事は心配しなくてもいい」
「幻月・・・・・ホント?」
「ごめん、本当らしい」
「・・・・・・・・・・・・・・幻月は彼が好きなの?」
「まだわからないけど、好きだと思う」
「そっか・・・・よかった」
「だからと言って、もう会わないというのは無しだぞ?」
「うん」
「今度紹介しろよ」
「勿論・・・それであの・・・・・」
「外で待たせてあるんだろ?行け」
「今までありがとう」
「俺の方こそ楽しかったよ」
「じゃ・・・・また」
「ああ」
それだけ言うのが精一杯だった
悲しいけど、引き止めてはいけないんだ
翔が幸せになるのならそれでいい
翔も考えた末の結論だろうし
玄関が閉まる音と同時に涙が零れ落ちた
「ばーか」
「うるさいっ!」
胡月に抱きしめられて思い切り泣いた
悲しいし寂しい
「結果的にはフラれたみたいだな」
「いいんだよ、慣れてるし」
「でも、もうフラれる心配はないな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「そうだろ?」
「そうだな・・・・・」
「でも泣かれるのは困る」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
そっと涙を舐めて瞼にキスをしてくれた
「俺がいるだろ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・なんか悔しい」
「結果は見えていたし」
「何でだよ」
「下に、高そうな車が停まっていたんだけど」
「えっ?」
「ベランダから見ていたら、そいつが翔を待っているような気がしたから」
「マジかよ・・・・どんなやつだった?」
「心配ない、大人だし幸せにしてくれると思う」
「そっか・・・・ならいい」
今度、出会いとか聞かせてもらおう
保護者としてね
「じゃ、俺は帰るよ」
「えっ?」
そんな・・・・・・嘘だろ?
「どうした?」
「・・・・・・・・・・・・・・帰るなよ」
「何故」
「いいからっ!傍にいろよ」
「どうして?」
「どうしてって・・・・・どうしてもだ」
「素直に言えばいいのに・・・・・好きだって」
「うるさい」
「じゃ、帰る」
「なっ!」
こいつ・・・・・・
なんかムカつく
でも、涙も引っ込んでしまった
「・・・・・・・・・・・・傍にいろよ・・・・一人にするな・・・・・好きなんだ、認めるから」
「知ってた」
「は?」
「でも、嬉しいよ・・・・俺も好きだ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「いや、違うな」
「えっ?」
「愛してるだ」
「・・・・・・・・・・・・・・・俺も」
この感情はなんだ?
翔の時とは違う
すごくドキドキするし逆らえない
「朝まで傍にいるよ」
「・・・・・・・・・・ああ」
「いいんだな?」
「いいよ、もう好きにしろ」
「そうするつもりだけど」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・クソッ!」
何だか全て見透かされているみたいだ
でも、嫌じゃない
それってやっぱり・・・・・好きって事なんだよな
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