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この日をずっと待ち続けていた
この日の為に生きて来たと言っても過言ではないはず
「翔、どうだ?」
「うん、いつでも行ける」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
鏡に映るスーツ姿の俺の後ろに冬矢が立っていた
「何?」
「いや・・・・・スーツ姿もなかなかいいな」
「俺にしてみれば、制服とあまり変わらないような気がする」
「同じ色だしな」
「うん」
「じゃ、そろそろ行こうか」
「わかった」
「会議中らしいからそこへ乱入するぞ」
「オッケー」
和海から話を聞いて、毎日何度も頭の中でシュミレーションした
冬矢は涼しい顔で毎日秘書の仕事をしながら、会社の裏帳簿を探し出し和海に渡していた
何だか怖い兄弟だな・・・・・
「じゃ、行こう」
「うん」
「和海も後で合流するけど、まずはお前が頑張れ」
「わかってる」
あいつをどん底まで突き落としてやりたい
二度と這い上がれないようにね
車に乗り、あいつの会社までやって来た
能無しでもこんな会社を持てるんだから世の中おかしいよね
「大丈夫か?」
そう言って優しく手を握りしめてくれた
それだけで勇気が出る
「うん」
小さく頷いて、車のドアを開けた
そう言えば、会社に来るのは始めてかも
こうして中に入る事なんてなかったしね
でも、誰も怪しまないのは冬矢のおかげかも
そのままエレベータに乗り、会議室に向かった
廊下で何人かとすれ違ったけど、やはり怪しまれなかった
「信頼されてるんだね」
「その為にいい人間を装ってきたしね」
「うわ・・・・・」
「突き当りが会議室だ、言いたい事は全てぶちまけろ」
「うん」
「そして昔の事は忘れろ」
「・・・・・・・・・・・・・・だね」
新しい人生の第一歩が今日なんだね
もう、後ろは振り返らない
楽しい思い出なんか何一つないし
「開けるぞ」
「うん」
冬矢は何の躊躇いも無く、会議室の扉を開いた
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