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翔は電車で帰るのかな?
それともお迎え?
制服に着替え、校門に向かいながらそんな事を考えていた
「ねね、翔はさ・・・・」
「ん?」
「・・・・・・・・・・・・・な、なんでもない」
「あそ」
思い切り車が止まってるし
しかも朝の車じゃない高そうなやつ!
「お迎え?」
「送るよ」
「へっ?」
「家はどこ」
「いいの?」
「疲れただろ?」
「うん・・・でも」
こんな車に一度は乗ってみたかった
でもな・・・・・家を見られるのはな・・・
「お帰りなさい」
「和海、燕羽を送って」
「はい、どうぞ」
「えっ・・・は、はい!」
ドアを開けられたら乗るしかないよねっ!
んふっ・・・・・すごい車
「家はどちらの方角ですか?」
「あっ、俺ナビします」
「では、お願いします・・・日本の地理は余り詳しくありませんので」
「はい、じゃ・・・あっ、そこを右折して真っ直ぐです」
「はい」
家は駅から3つ目の駅
車でも道は簡単だから俺にも教えられるしね
何とか家まで案内して、車を降りた
早く降りたい訳があったから
「ありがとうございました!」
「お前、何急いでるんだ?」
「えっ・・・べ、別に急いでないよ」
「ふーん」
早く車を出して
「家ってぼろいでしょ・・・高級車が来るような場所じゃないし」
「関係ないだろ?お前が建てた訳じゃないんだし」
「そうだけど・・・・」
その時、家の中から窓が割れる音がした
やっぱりいる・・・どうしよう
「あの、もう大丈夫ですから」
「・・・・・・・・・・・・今の音は?」
「あっ、平気です」
「平気ねぇ・・・・」
「ホントに大丈夫だか・・・・・・・あっ」
まずい
「燕羽~、お友達?」
「違うよ、道を尋ねられただけ」
「ちっ、おい」
「何」
「金!金出せ」
「無いよ」
「小銭ぐらいは持ってんだろ?ババァは財布を隠してるしよー」
「あるわけ無いよ、家だって大変なんだ」
「なら高校辞めて働けよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「高校の陸上も中途半端だしお前には無駄な金だろ、働いて金を稼げ」
「嫌だ」
「あ?」
「何で兄貴の為に高校を辞めなきゃいけないんだよ!」
「いちいちうるせーな!じゃ、金出せよ」
「だから無いって言って・・・・いたっ」
「出さなきゃ腕折るぞ」
「・・・・・・・・・・・無いってば・・・・」
「こいつ、ババァに似てきたな!殴っても金を出さねーしよ」
「痛いっ!また母さんを・・・・」
何でこんな兄貴がいるんだろう
昔から俺をいじめてばかりで、大人になったらお金ばかりせびりに来て最悪だ
「折れるぞ、無いなら家から持って来い!」
「・・・・・・・・・ううっ」
それも嫌だ
でも、無い物はナイ
「殴ったほうが素直になるのか?どうなんだ!」
「ひっ!」
怖いよ
もう嫌だよ
「いっ!!」
翔・・・・・
翔が兄貴の足を蹴飛ばしたんだ
「困るんだよね、燕羽を傷付けられるのはさ」
「何だお前・・・やっぱり知り合いかよ!」
「翔、危ないよ!逃げて・・・・お願い」
「こんなのろまに俺は殴れないよ」
「何だと?」
「殴れば?」
「ああ、後で後悔するなよ」
「クスッ」
あっ・・・・この笑い方
最初は意地悪かと思ったけど、そうじゃないんだ
「この野郎!」
「遅いなー」
「クソッ!」
「それで本気?」
「ざけんなっ!」
「眠くなるね」
「貴様、チョロチョロと」
「和海」
「はい」
えっ?
腕を掴まれて車に乗せられた
「翔は?」
「今来ますよ」
「えっ?・・・・・おわっ!!」
「出して」
「はい」
嘘!
あの場所からこの車に飛び乗ったの?
すごい跳躍力・・・・・
じゃなくてっ!
「ごめん・・・・あれ兄貴なんだ」
「みたいだね」
「仕事もしないで毎日お金をね」
「で、渡さないと殴られると」
「・・・・・・・・・・・ん」
「母親は大丈夫?」
「慣れてるから・・・・父親がいないから心配だけどね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「だから俺帰らないと」
「ダメだ」
「えっ?」
「怪我でもしたらどうする、自分の体を大事にしろ」
「でも」
逃げても無駄なんだ・・・・
引っ越すお金もないし
「和海」
「わかりました」
「一度戻るぞ」
「えっ?」
やけに素直だけど
そして兄貴はまだ家の付近をうろうろしていた
「では」
「ああ」
和海さん?
何をするんだろう
「金を渡せば今日は消えるんだろ?」
「でも」
「家に行くぞ」
「えっ、うん」
何だろう
お金なんてないのに
あれ?
兄貴がどこかに消えた
どうして?
「和海が金を渡したんだ」
「どうして?あんな奴に渡しても」
「今だけ消えればそれでいい」
「えっ?」
そして翔はその後、驚くような事を母親に言った
ホントにそんな事が?
でも、出来るらしい
すごく嬉しいけど、そこまで甘えてもいいのだろうか
翔の話をまとめるとこんな感じ
母親を今夜兄貴に見つからないようなところに連れて行ってくれると言った
ようするに兄貴がいないうちに引越すという事
和海さんは絶対見つからない場所だから安心しろと言ってくれた
俺も、母親が心配だからここから離れて欲しいと思った
あざだらけの母親を病院に連れて行ってくれた
美味しいレストランでみんなで食事もした
すごく嬉しそうな母親の顔
俺もすごく嬉しかった
「では、私はお母様を新しい家に案内します」
「うん」
「燕羽が学校に通うには遠いからお前は家に来い」
「ふぇ?」
「いいな?」
「いいけど・・・・ん・・・」
「心配はいらないよ、責任を持って燕羽の母親は護るから」
「いいのかな・・・そこまでしてもらって」
「だからお前はもう何も考えずにインターハイの事だけを考えろ」
「わかった、ありがとう」
でもね・・・・・・
嬉しい事は続かないと思ったんだ
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