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「レナード様、明日はお早いのですか?」
セックスしないの、とまでは聞けないから、さり気なく問いかける。すると、レナードは微笑んで悟に手招きをした。
(あれ、やっぱりするのかな)
悟が無意識に期待をしながらレナードへ近づくと、腕の中に閉じ込められる。レナードの体温を感じ、とても心地いい。だが、肝心なのはそこではない。
どちらかはっきりして欲しくてレナードへ抱きつけば、頭を撫でられるだけで。そして、ようやくレナードの口が開いた。
「……そうだな。こちらに戻ってきたばかりだし、明日は早めに会社へ顔をだそうと思う」
「そ、そうでしたか。では、おやすみなさいませ」
空振りしたような気分だが、それなら仕方がない。
悟は今日のことを忘れることにした。
しかし──。
次の日も、次の日も。いつまで経ってもレナードは手を出してこない。
枕ではきちんと意思表示しているのに、なぜだろう。これでは枕を買った意味はなんだったのかと、悟は隣で眠るレナードを見てムッとした。それに、今まで一人で悶々としていたことも。なにもかも無駄ではないか。
(レナード様のばか!)
悟も触れられない毎日で黙っていられなかった。セックスしたいと思うし、せっかくの枕で示しているのに放っておかれるのは酷い。
悟は上体を起こすと、レナードの身体へ跨る。リラックスしていて、あどけないレナードの寝顔。それを見下ろして、これからしようとすることにドキドキした。
そして、少し開いたレナードの唇に喉を鳴らしながら、自らの唇を重ねた。緊張もあって唇が震える。でも、気持ち良くて、ちゅっちゅとキスを繰り返した。
(ねえ、起きて……)
ぺろりとレナードの唇を舐める。ついには開いた隙間から舌を差し入れて。ビリビリと小さな電流が駆け抜けて、思わず鼻から色のある声が抜けた。
気持ち良い。けど、一人で気持ち良くなるのは、寂しい。
早くも虚しくなってきて悟が唇を離そうとすると、いきなり背中へ腕が回ってきた。突然のことにレナードの胸を押すが、抱き締められてはそのままベッドへ押し倒されて、キスの反撃を受けてしまう。
レナードのキスは、悟がするものとはまったく違った。強引かつ情熱的で、すぐに思考が蕩けて翻弄される。長いようであっという間な濃厚な愛撫が終わり、唇が離れれば銀の糸が唇同士を繋いだ。
目をぱちくりさせながらレナードを見つめると、綺麗な瞳が嬉しそうに細められて。
「いきなりキス? しかも、ちょっと大胆だったね」
「お、起きてた……?」
「サトルが乗っかってくるから、可愛いなと思って放っておいたら、ねえ……」
意味ありげに微笑まれて、かあっと頬が熱くなる。
「……だ、だって、レナード様が触ってくれないからですよ。ちゃんと“YES”にしていたでしょう? どうして?」
「サトルは“NO”と出してくると思ったから驚いたよ。だが、それからもずっと“YES”だったから……もしかして気にしないことにしたのかと様子見してた」
「これでも、ずっと悩んでいたのですよ。触ってくれないのかなって」
いじわる、と悟はレナードの胸元をきゅっと掴んだ。
すると、レナードがその手を取って繋がれる。指が絡まる感覚が心地よくて、きゅんと心が嬉しい締めつけに遭う。
「可愛いな……触って欲しい?」
ちゅ、と繋がれた手に唇が落とされた。悟は誘われるまま、こくん、と頷く。
「頷くだけじゃ駄目だ。ちゃんと言葉にして伝えて」
「っ、触って欲しい……触ってください、レナード様」
切なげに眉を下げて、悟はレナードへ懇願した。
それをじっと見つめていたレナードがクスと笑って。
「……そういうの、待ってた」
そして、次に合わせた瞳は獣のものへと変わっていた。
待っていたのは悟も同じくである。お互いに待ち続けていた分、今夜は──。
その合図にと近づいてくるレナードの唇に、悟は瞳を伏せて受け入れたのであった。
End
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