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【恋人にリンゴを】疲れを癒して!
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レナードは帰宅をして、ドサッとソファーへ腰かけた。
今日は……すでに日にちが変わってしまっているが疲れた。朝から溜まっていた書類承認から始まり、役員会議、取引先との会食パーティー。とにかく疲れた。
背もたれに寄りかかり、天を仰ぐ。悟も寝てしまっているだろうし、寝顔だけ見て疲れを……と思うが、一度座ってしまった身体は、とてもだるくて動かしたくなかった。ネクタイを緩め、整髪された髪を掻き乱していると、二階の部屋の扉が開いて。
「レナード様? お帰りになったのですか?」
「サトル? 起きてたのか?」
寝衣にカーディガンを羽織った悟が、階段を降りてくる。
「あ……たまたま音に気づいて……」
「ああ、起こしてしまったんだな。すまない」
「どうして謝ることがあるのでしょうか」
悟はレナードの目の前に立つと、腰をおろして眉を下げる。自然とお互いの手が伸びて、お互いを抱き締め合った。
感じる温もりが愛おしい。レナードはこれを求めて帰ってきているし、悟もこれを求めて待っている。だから、この瞬間が幸せだ。
「ここで少しゆっくりしたら寝るよ。だから、先に寝ていてくれ」
トントンと悟の背中を叩いて、悟の身体が離れていくと、レナードは苦笑する。そんな様子で、悟も放っておくわけがない。
「お疲れですね。少しだけお待ちいただけますか?」
悟はその場から去って、数分後、戻ってくると、手にしていたのはタオルだった。
「蒸しタオルです。目の上に乗せると気持ち良いですよ」
そして、レナードの背後に立って、タオルを乗せてくる。
ほど良い温かさが、じんわりと身体に沁みていく。それは疲労を増したレナードにとって効果的だった。それから、すぐに襲いくる眠気。レナードは大きく深呼吸をする。
「ああ、そうだな……このまま寝てしまいそうだ」
「風邪を引いてしまいますから駄目ですよ?」
「ん、わかっている……」
再び帰った直後の静けさが戻ってくる。
悟が挨拶をしてこないということは、そばにいてくれているのだろう。起こしてしまったのは申し訳ない気持ちだが、それとは裏腹にやはり嬉しい。悟のそういうところが好きだ。
しかし、時間はかなり遅い。寝てもらおうとレナードが悟の名前を呼ぼうとすると、頬を包まれる。体温のある悟の手だった。そして、次の瞬間、唇に柔らかい感触があたって。小さく鳴るリップ音。静かな部屋には十分すぎるほどに耳へ届く。
「……お仕事、お疲れ様です」
柔らかい声音だった。レナードの脳裏に、優しく微笑んでいる悟が浮かんだ。
とはいえ、予想していなかった展開に驚いていると、悟の手が離れていこうとしたので、レナードは咄嗟にそれを掴む。タオルを取って振り向けば、顔を赤く染めた悟がいて。
心が疼いて、たまらない。
「そんなことをされると、止まらなくなる。いいのか?」
レナードは誘うように、捕まえた悟の手の甲へキスを落とす。
すると、悟は目を丸くしたあと、瞳を逸らした。それでも嫌ではない様子。ただ自分からキスをした恥ずかしさが尾を引いているだけで、少しすると唇が「はい」と動いて。
レナードはすぐさま悟を抱き寄せたのだった。
End
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