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【恋人にリンゴを】レナ悟からの暑中・残暑見舞い♡
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暑い真夏。
なにをするにも嫌気が差すような、嬉しくない時期だ。その気持ちを沸き上がらせるように、じりじりと照りつける太陽が眩しく二人を照らしていて。
悟は手で目に日陰を作り、目の前に広がる景色に唖然としていた。
「こ、こんなものまで持っていたんですか……」
雲一つない青空、真っ白い砂浜。そして、エメラルドグリーンから深くまで行くと瑠璃色のグラデーションで広がる海。壮大であり、うっとりしてしまうほど美しい景色だ。地球を感じる、というのはこういうことだろう。
それに、暑いとはいえ、じわっとかいた汗の中、吹き抜ける潮風が気持ち良い。今の時期、ぴったりな場所であった。
レナード曰く、ここは所有しているプライベートビーチだそうだ。
遡ること、数日前──。
突然、レナードが休みが出来たから旅行へ行こうと言いだし、何事だと思いながらついてきてみれば。まさか、こんなところがあったとは知らず。大まかに海だと聞いていたので、それなりにグッズを用意してきたものの、これは景色だけでも十分満足出来ているくらいだ。
「俺はあんまり来てないけどな。普段は友人達が借りて遊んでるよ」
なんて羨ましい。そして、もったいない。
レナードとしては当たり前なことなのだろうが、悟はレナードと一緒にいると、時々、金銭感覚の違いに身が震え上がることがある。αの世界も怖いものだと、そう思ってしまう。
でも、こういう場所に連れてきてもらうのは、やっぱり嬉しくて。
「綺麗だなー……」
瞳を細めて、ずっと見ていても飽きない景色を見ていると、さり気なくレナードに肩を抱かれた。
「今日はここにサトルと俺、二人だけだ」
それから、低い声で囁いてくるものだから、悟は身体を跳ねさせて、ささっとレナードの腕から逃げた。先程の声が耳に反響しているようで、手で耳を押さえる。もちろん、悟の顔は一気に茹で蛸状態だ。
「っ……! いきなり、いやらしい声を出さないでくれますか!?」
「口説いているんだ」
「ああ、そうですか……」
ぎゃん、と咄嗟に泣きわめいたが、レナードの開き直っている口調にジト目で見つめるしかない悟であった。
そんなレナードを放っておいて、悟は海岸のほうへと歩く。
柔らかい砂は悟が歩くたびに、さくさくと音を立てて足跡を残していく。そして、海辺まで着いてその場にしゃがんだ。
「凄い……」
プライベートビーチの海は透明に澄みきっていて、下の地面まで見えている。
悟は感動してしまって、思わず海水を両手で掬いとっていた。そういえば、日本の海のように磯の香りがしない。それだけ海が綺麗ということなのだろうか。
「そうやってないで泳げばいいだろう」
再び顔を上げて水平線を見ていると、後ろから声が掛かって。風情のない言い方にムッとする。
「わかってないですね……今は景色を堪能しているんです」
「それで? 気に入ったか?」
「うう。あまり承諾したくない言い方ですけど、この景色に罪はありませんから……気に入りました」
「そうか。それは良かった」
ムスッとした顔で言ったものの、レナードは嬉しそうに笑う。すると、同じく悟の横にしゃがんで手を絡めてきた。
悟は表情は変わらずだが、頬がほんのり染まっていて。瞳同士が合って、そのまま見つめ合う。
よく思えば、レナードの瞳も、この海の色に負けないくらい綺麗な色だ。澄んだグリーンの瞳。陽が当たりキラキラ輝く目は、まるで宝石のようだ。
ああ、暑さで頭がやられてるのかな──。
そう思ってしまうなんて。
繋いだ手は、いつしか指まで絡んでお互いを離すことのないよう繋がれている。そして、悟は近づいてくるレナードの唇を自然と受けとめて、口づけを交わしていた。
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