アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
2話
-
世の中の腐女子様、または腐男子様こんにちはは。今日も校内は沢山の萌え要素を撒き散らしております。
裏庭は告白の場なのか、赤く頬を染めちゃって嬉しそうに手紙なんて渡しているし、お相手様も満更でもなさそうに、頭なんて掻いて照れ隠ししちゃっている訳で。
そんな様子を表情筋こそ動いて居ないものの、嬉しそうに涎を垂らしたい勢いで望遠鏡なんて片手に景色を眺めるのが好きだと言い訳して、覗いている放課後。何故か隣には橘君が居ます。
「放課後も景色眺めか?…俺には全く代わり映えしないけど…まあ、お前には違って見えるんだろうな」
「ま、まあ…そうですね。……確かに」
違って見えるのは景色では無く人の行き交いだと言ったらきっと変態扱いされるだろう。盗撮なんて。
言葉を濁しながら仕方なしにと望遠鏡を諦めて、橘君を見た。
「あの…飽きないんですか?」
続く言葉は、対して目立たない自分なんて見てだ。彼の視線は睦月が好きだと言う景色なのでは無くて確実に睦月本人に向けての熱。
「飽きないな。なあ…この前の告白覚えてる?」
夕日は傾き、空の色がオレンジで。微笑む格好いい橘君を更に魅力的に魅せた。それはまるでラブコメによくある花が回りに咲き誇るように、もうまっピンク。ああ、これが萌えですか…なんて。
「お、覚えてはいますが…何かのご冗談では…」
無駄に丁寧語で返事を返した。勿論、橘君の顔なんて見れたものではない。直球過ぎる言葉に委員長的余裕なんて無いのだ。
「出来れば返事が欲しい。あんたはどうか分からないけど、これでも俺は…その、精一杯なんだ」
「それは…」
精一杯の辺りで橘君の顔を伺えば、照れているのか同じように顔を剃らしている彼に、本気なんだと目を見開いた。
「っ、……こ、困ります」
何に困るんだと、自問自答したいが、如何せん彼は好条件なお得物件なのだ。顔よし、性格よし、運動よし、頭よしで。委員長以外の才能がない睦月には、勿体ない。おまけに、挨拶程度の付き合いしか無かったのに、好きかどうかなんて分からないのだ。
見てるだけの傍観者だった自分から、いきなり主役にはなれそうにない。
「なら…そうだな……あの、お友達から…とか」
困った顔で照れ隠しなのか、片手で口を押さえながら、睦月に向かって手を差し伸べる。
初歩的な恋愛道の第一段階な橘君の行動に、驚きを通り越して、訳も分からない笑いすら込み上げてくる。
「そうですね…ははっ、ええ、うん。お友達から」
よろしくお願いいたしますなんて、付け足して手を握り返した。彼から見て何がどうして睦月を気に入ったか疑問すら感じるが、軽い挨拶しかしなかった二人の間に、友情が付け足された。
「いつか必ず好きにさせてみせる」
「…?何か言いました?」
小さい声で何かを言う橘君に聞き返すも、何でも無いと言われ、そうですかと返す前に橘君から「今日一緒に帰らないか?」と聞かれる。
寮なのに…?なんて聞くのは無粋だろうなと思いつつ、首を立てに振る。
明日からは、傍観者では無く。橘君観察日記になってそうだな。なんて思いながら二人で並んで帰路に着いた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
2 / 3