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3話
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おはようございます。全国の腐男女様。まとめました、そのうちryになっているかもしれません。
冗談はさておき、朝の食堂は取って置きの萌え場面の場でもあります。
何故なら朝は沢山のカップリングが把握出来る場でもあるからです。
「はい、あーん!」
「お、おう…照れるな…」
はい!頂きました。ありきたりなうどんをすする振りをして目の前の二人を眺めています。うどんに油揚げが無くても、彼らで十分行けます。
こんな感じで毎朝カップルを見つけてはなに食わぬ顔で見届けるのです。これが贅沢と言わずなんと言うのか。
二人の甘くて美味しい時間を眺めていれば、視界が少し暗くなる。
「なあ。…隣いいか?」
ポーカーフェイスでうどんをすすり、誰かを観察してる睦月に話し掛ける人は一人しかいない。
仕方なしに箸を休めて、目的の人物を見上げた。
「おはようございます。橘君…朝練は?」
「休みだ」
決して邪険にしている訳ではない。朝の幸せな一時は、彼をみていてもなし得るだろう。
返事を返した覚えもないのに、勝手に目の前の椅子に座る橘君。素敵なカップルからイケメンと向き合いタイムへの変貌を遂げた。
何を話す訳でもなく、箸を手に取る橘君に、話し掛けたのは僕だった。
「あの…部活は何を?」
「弓道部だな。」
「そうですか…」
「………」
いや、会話が続きません。部活すら知らないほど今まで感心が無かった橘君(萌え要素としての観察対象)。いきなり友情はハードルが高すぎるように感じる。朝からカツ丼なんて、カロリーですね。なんて言うのはどうだろうか。
「あのさ。…いや、何でもない」
次に話し掛けたのは橘君だった。中途半端な言葉で。
「何ですか…返って気になりますが、それ」
「いや…明日休みだろ…い、い…やっぱりいい」
そんな止め方は無いだろう。しかも顔を真っ赤にして口元に手を当てながら。
衝撃的な告白をした橘君とは思えないツンデレ具合に、どうしたら良いか全くこの先の展開が読めない。
「明日はお休みですが何か?」
「そうだな…休みだ」
沈黙と共に、カロリーなカツ丼を食べ始める橘君に、これ以上の言葉はきっと出ないと感じ、器が空になったうどんを食べたお箸を綺麗にお盆に並べて、立ち上がった。
彼が食べ終わるまで待つなんて、そんな優しさは持ち合わせていないのだ。如何せん沈黙が重い。
「僕はお先に」
一言話して椅子を整え、お盆を持った瞬間、咄嗟にその手を捕まれた。
「あのさ、あ、明日…一緒に何処か行きませんか」
「良いですが…何で敬語?」
「…なんとなく」
照れ過ぎて此方の顔も見れないようだ。今までにないパターンのような気がして、きっとこれは観察ではなく、当事者にしか分からない体験なのかもしれない。
分かりにくいような分かりやすい橘君に、では失礼します。と、振り返って去ろうとした瞬間、細やかなサービス心なんてものが芽生えても来た。
また向きなおして、ブレザーに入れてあるボールペンで、アドレスを書き、渡す。
どんな顔をするのだろうか。
「予定を教えて下さい…では。」
「あ、ああ…必ず連絡する」
その顔は困り顔でも、照れ顔でもなく、本当に嬉しそうな顔で受けとる彼に、本当に好きなんだなっと、此方まで嬉しくなるような。そんな顔だった。
そんな橘君の顔を見ていれば、自分まで嬉しくなるような…いや、なにを言っているのだろう。
無意識に火照る顔に気付かないまま、その場を立ち去った。1日は長いのだ、観察の意味で。
end
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