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恋しく慕わしい 17
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その暖かい幸せに手を伸ばすって結構勇気がいる。
手にしていいのか。幸せになっていいのか。何度も自問自答しながら、そればかり気になってしまうから。
でも、もう手放せるわけがないとも思う。
和臣も覚悟を決めてきたと言ったから。だから今度は俺が覚悟を決める番なんだ。
永遠なんてわからない。この先に何があるかもわからない。
けど、起こるか起こらないのかもわからない先のことで傷付かないことばかり考えるのはやめて、素直に伝えようと思った。
9年分の想いなんだ。
軽いものなんかじゃ決してない。
和臣が考えているよりきっと重たいこの気持ちを、和臣は受け入れてくれるだろうか。
緊張して少しだけ震える手を、抑えるように握り込みながら和臣に近付いた。
「和臣……」
荷物を置いた和臣が顔をあげる。
なに?と首を傾げる仕草が少しだけ緊張を解した。
「一緒に、病院作ろうな」
今までに和臣から言われた大切な言葉を、初めて俺から和臣に向けて言った。
俺は今までずっと受け身でどこか後ろ向きだった。
自分の代わりなんていくらでもいると思っていたし、傷付くのを恐れていつも一歩引いたとこにいた。けど、もう逃げたくない。
「俺一人じゃどうにもならないんだから、絶対に医者になってくれ。和臣が独立出来るまで俺も腕を磨いて頑張るし、何年でも待ってる。だから一緒に病院作ろう」
言い終わるそばから強く抱き締められると、耳元で「ありがとう」って聞こえてきた。
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