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儚く溺れる 22
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「それって……陽斗は俺が……?」
「あんたがいるから、いつまでも陽斗がオレのものにならない」
完全に終わったと思った。
「もう、いい加減やめてくれ!」
やっと出せた大声に二人は口を閉じてこっちを見たが、和臣に知られてしまった事実とその重みで押し潰されてしまいそうで、もう限界だった。
とっさに二人に背を向けて、がむしゃらに走り出す。
「あ、陽斗!!」
後ろから和臣の声が聞こえたのも聞こえなかったふりをして、必死で走り大通りに出ると、タクシーを止めて乗り込み適当な行き先を告げすぐに発進させた。
それからは、ただ流れ行く景色をただ眺めていた。
しばらく走ると、少しだけ落ち着いてきた。
そんな頃、スマホがメッセージの受信を知らせる。
相手は和臣だったが、見る勇気がなかった。
何を言われるか怖かったからだ。
他の誰に白い目で見られようと罵られようと耐えられる。
けど、和臣だけは耐えられない。
やっぱり狼狽えるだけだった。
色々と考えすぎてまた欲張りになったから罰が当たったんだ。
友達で居られればよかった。
その先なんて望んでいないはずなのに。
終わりだ。
もう会えない。
もう、友達でもいられない。
タクシーの窓から流れる風景は滲んでいた。
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