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小さな宝箱
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スアムが来たその日の夕食。
何故か自信満々のスアムがタキアの隣に立っていた。それに不思議そうな顔をするカメリアに、タキアが告げる。
「本日はスアム様が手伝って下さいました」
「あぁ、なるほど」
味も見た目も大丈夫なのはタキアのお陰だろうか。料理なんてまともに作ったことがないだろうスアムの手は絆創膏だらけだった。
あんな手を見せられると治癒魔法で治してしまいたくなる。
そもそもあの程度の傷を治せないなど、力量が知れる。その親族を治療する意味も見い出せない。
スアムの手から視線を逸らし、夕食を味わう。普通に美味しかった。
食事を済まして自室に向かっていると何故かスアムがついてきた。
「何か用か?」
「お背中お流しします!!」
「遠慮する」
「何故ですか!?」
何故も何もそんな嗜好は持っていないし、嬉しくない。
しゅんとしたスアムを見て溜め息が出た。更に落ち込むスアムに、ひとつ課題を出す。
「その手の傷。治癒魔法で治せるようにしろ」
何故こんなことを言わなくてはならないのか不思議だった。
今まで、他とは違うことに魅力を見い出して以来周りとの接触を図らなかったからだろうか。
出来ることは置去りに。常に新しいものに目を輝かせて生きてきた。
それでいいじゃないか。
それでいいんだ。
目の前で小さなことに凹むただの魔族なんかに構っている余裕なんてないんだ。
そう言い聞かせてカメリアは歩きだした。
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