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四方の番人
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リハルを鋭い瞳で射抜いたカメリアはスアムの頭を撫でた。
「またな」
スアムが顔を上げる前に、カメリアはふっと姿を消した。
何がなんだかわからないスアムは突然無くなった感触にただただ驚いた。
「カメリア様……?」
ポカンとしているスアムにカロエが肩に手を置いた。
「空間移動の魔法のひとつだよ。いつもみたい陣を使う場合は、複数もしくは巨大なものを移動する時、長距離の際に使うんだけど、今みたいに単体それに最小の空間制限を行うことで短距離だけど移動できるんだ」
「短距離ってことはまだいる?」
「カメリア様のことだから、短距離で移動したあと陣で帰っちゃったと思うよ」
しょんぼり落ち込むと、カロエが慌てて、部屋に戻ろうと元気よく声をかけてくれた。
「うん……」
カロエが気を使ってくれているので、いつまでも落ち込んではいられない。
部屋に戻ってソファーにうつ伏せ、カメリア様に何も言えていない自分に落ち込んでいると、カロエがやって来た。
「スアム、紅茶新しいの入手したから一緒に飲もう」
「あ、うん……」
小さな備え付けのキッチンで紅茶を入れているカロエに目を向けず、ソファーの生地をただただ見ていると、今日カメリア様が現れた時のことを思い出した。
「カロエ」
「なに?」
「北の番人ってなに?」
「カメリア様のこと?」
「?……今日カメリア様のこと見てそう言った人がいたんだ」
「あぁ、魔界は広いからね。王城がここにあっても大地はすごい広い。海の向こうにだって陸があるから」
紅茶のいい匂いが漂ってきて、お供は何にしようかと考えていると、カロエがティーセットをこちらへと持ってきた。
「北の岩山の向こうにも大地があって、魔物が住んでるんだけど、こちらに友好的ではないから、攻撃してくるんだ」
手際よくテーブルに紅茶とケーキが用意された。
「だから、北側を守るために任命されたのがカメリア様。皆は北の番人て呼んでる。他にも、東の番人、南の番人、西の番人がいるよ。どの御方も結界に関してはズバ抜けて凄いね。……いただきます」
紅茶を飲んだカロエが一息つく。
「ん、いい匂い」
「北の番人だから、岩山から離れられない?」
「別にそういうわけじゃないと思うけど。カメリア様は学園を卒業してすぐに岩山に家を建てたって聞いた。なんでも周りが五月蝿くて面倒だからって。北の番人になったのはその後だよ」
「あー……カメリア様らしいな」
「そんなに?」
「そーだよ。俺様何様の一本道なんだからさ」
「……そっか」
ニコニコしているカロエを疑問に思いながら紅茶を飲んだ。
「ん……美味い」
「でしょ!リアス様から頂いたんだ!!」
思わず噎せそうになって、堪えた。
「え、えと……リアス様?」
「そう。リアス様から」
あの鬼の特訓メニューを出すリアス様が紅茶を。
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