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解決の糸口
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リハル邸に帰ってきたのは月が空を照らす頃。空がすっかり紫紺の色に染まってからのことだ。
リアス様に買い与えられた服をしまって、明日の講義の支度と訓練の支度を済ませ風呂に入った。
翌日、リハル邸に住んでいる皆がリアス様とトルン様が喧嘩中であることを知った。
まぁ、皆慣れたもので知ったところで何のその。
ハラハラしてるのはスアムひとり。
いつもの訓練も心なしか厳しくなっているような気もする。
「はあぁぁー」
「なんだ、深い溜め息だな」
隣に座っていた友人に言われた。
「リアス様とトルン様が喧嘩中」
「喧嘩するほど仲が良いっていうじゃん。ほっとけほっとけ」
「いつ解決するか分からないじゃないか」
喧嘩した場所に居合わせたので長引くのはあまりよくない。しかも原因がスアムだといっても過言ではないのだ。この状況に気にするなという方が無理だ。
「あー、もう、どうしよう……」
「解決策、教えてあげようか」
第三者の声がして顔をあげると艶やかな黒髪に綺麗な黒い瞳を持った純血悪魔が僕と友人の間に顔を見せた。
「フラビ。お前自分の親のことだぞ。お前がなんとかしろよ」
「残念僕じゃ力不足なんだなー」
親しげに話す彼らの会話についていけずにフリーズしていると、にんまりと楽しげに僕の頬を指で突いてきた。
「初めましてー。フラビ・レスファイアでーす。昨日まで長期任務で居なかったんだ。今聞いた通り僕の親はリアス・レスファイアとトルン・ベストルド。昨日帰ってきたら夫夫喧嘩してるんだもん。びっくりだよー」
「なんかごめん……」
「なんで謝るの?」
「いや……僕が喧嘩の原因なんだけど……」
「んー。原因はどうあれ、リアス父様はトルン父様のやったことに対して怒ってるからトルン父様が謝れば一発なんだけどね」
「どう考えてもトルン様が謝るなんて無理」
「まあトルン父様も頑固だしねー」
「なんでそんなに余裕があるんだよもう……」
「いつものことっていうのもあるし、離婚はしないだろうから」
「でもギスギスした雰囲気は嫌だ」
「んー、まあこれも刺激的でいいんじゃない?」
刺激的の一言で済ますところがあの二人の子供なのだと頷ける。
「スアムは平和主義だねー」
やれやれといった様子に僕の代わりに友人が呆れたように言い返す。
「お前みたいに戦闘好きな奴の方が稀だと思うけど」
「そうかなー?」
右手からポンポンお菓子を出して机に積んでいくフラビは僕の口にチョコを押し当てた。口を開けて迎え入れると舌の上で消えるように溶けて甘さが口に広がり、チョコの香ばしい香りが鼻から抜けた。
「あっ、唇ぷにぷにしてるー!やーんエッチー」
「はっ!?へ!?なんでそうなる!?」
こっちが赤面してしまう。
「カメリア様とちゅーってキスしてるんでしょー」
「し、してないよっ!!」
「えー、してないのー?もったいない。じゃー僕がー……」
ぐっと近づいてきたフラビの顔に反応出来ず固まったままでいると、目の前に茶色い羽が広がった。
「っ!っと、あっぶなー。鳥とキスする趣味はないよー」
「奇遇だな。オレ様もてめぇみてーな節操なしとはしねーな」
梟の姿からすぐに人型になったアデアはフラビを睨みつけた。
「イケメンなんだけど御口が悪いねー。そういう子は調教しないとダメかなー?」
「生憎だが間に合ってる。オレ様よりてめぇの方が調教が必要なんじゃねーのか?」
互いに煽りまくって収集がつかなくなりそうだったのでアデアを無理矢理この場から転移させた。
「ごめんねー、フラビ。いつもこんな感じのやつで……」
「いいよ別に。ああいうやつの性格とか心理とかよくわかるから」
「ああ……そう?」
深く追求されなかったのであっさりと引き下がる方が賢明だ。
「まあ、父様達のことでスアムが気を揉む必要はないよ」
と言われても、振り出しに戻ったのは否めない。
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