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仲直り会議
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夜、夕食を終えてシャワーを済ませたところでコンコンとノックの音がした。
がちゃりとドアを開けるとグレン様がいた。その後ろに青い髪に青い瞳をもった御方がいた。
「人数は多い方がいいと思ってな。大丈夫か?」
「あ、はいっ。大丈夫です!何もないですけど、どうぞ」
もともと備え付けの家具はあるがスアムの私物は少なく、ようやくクローゼットの隙間がリアスのおかげで少し狭くなったくらいだ。とはいえほぼ空々の状態である。
二人を部屋の中へ通し、お茶を出し、向かいのソファーに座って顔を見合わせると青い髪の御方が挨拶をしてくれた。
「初めまして。フィリア・カーペンタリアです」
「あ、初めまして。スアム・タリズです」
パーティーで見かけたが挨拶は軽く済ませただけで、プライベートで会うこともなかったので初めましてが妥当だ。
「お前の部屋に行くって言ったらいきなりついていくっていうからさ」
「理由もなしに言ったら不安にもなりますよ」
「ん?そうか。悪かったな、フィリア」
わしゃわしゃと髪を撫でるグレン様を見るフィリア様はなんだか嬉しそうで、こちらの視線に気付いたフィリア様が僕に口パクで「ありがとう」と言ってくれた。僕は笑みを返し、本題に入る。
「リアス様とトルン様の仲直りなんですが・・・」
「下手に突くと藪から蛇だぞ」
「ですよね・・・」
「リアス兄様の気分の問題でもあるからなー」
「トルン様の謝る姿勢に何か問題があるのでは?」
「つってもトルン兄様はいつもあんな感じだし」
「誠意を見せるのも必要だと思いますけど」
「トルン兄様の決め所はリアス兄様にもわかってることだから」
長年共にいるのだから確かにそれくらいきっとわかっているだろう。なら、何が引っかかってリアス様がトルン様を拒むのか。
とりあえず、いくつか策を上げてトルン様に実行してもらうことで話がまとまった。
お茶を飲みながら少し談笑しているとノックもそこそこに部屋のドアが開いた。
「スアムー面白い本が出てきたから一緒に…………」
客人がいるとは思わなかったのだろう。入ってきたフラビがグレン様達を見た瞬間ビクリと固まり、マジマジとグレン様を見た。
「本……物……?」
偽物がいるというのか。フラビの反応がいつもと違うと思いつつ「本物だよ」と答えると、フラビはパッと笑顔を咲かせ、グレン様に近寄った。
「お久しぶりです!グレン様!フラビ・レスファイアです」
「おー、フラビか。大きくなったな。中等部以来か?」
「覚えていてくださったのですか!?僕感激です!」
あまりの変わりようにフラビではない別の誰かのようで正直戸惑う。
「任務では大活躍だってな。お前ならきっと王城第一部隊に入れるぞ」
「いえ!僕が目指すのは貴方のいる第三部隊です!!」
「才能を無駄にするなよ」
「憧れている貴方の部隊で活躍したいんです!」
すごい熱の込め様で、フィリア様がグレン様を取られまいとグレン様の腕をがっちりと抱き込んでいた。
「フラビ、お茶どうぞ」
長居するのかしないのか分からないが、取り敢えず新しいお茶をテーブルへと置く。だがフラビは置かれたお茶に目もくれずただひたすらにグレン様だけを見て質問していく。
憧れていると全身で語っているフラビを眩しく思いながらフィリア様に目を向けると面白くなさそうな心持ちの顏をしながらも笑顔を張り付けていた。おそらくフラビはそんなフィリア様に気付いていないだろう。
グレン様もグレン様でどこか抜けているらしい。これではフィリア様の気苦労が絶えないだろう。しかし、これでも夫夫の関係が途絶えていないのだからやはり心の奥底ではガッチリと繋がっているのだろう。とても尊く、同時に羨ましい。
なんでもかんでも羨ましいに繋がってしまう自分の我が儘を見つけ、小さく嘆息する。
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