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温かな時間
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午後も何事なく終わり、荒地と化した浜辺を直して結界を解くと緊張も解けたのか一気に疲れが来た。
「んー、お風呂気持ちいい」
まったり大きなお風呂に入っていると、カロエがお湯で様々な形を手の中で作り始めた。
結界や修復作業で相当の魔力と集中力を消費したというのにお風呂でも魔力を使うなんて、少しは休めばいいのにと思っているとガラリとドアが開いた。また一人お風呂に入ってきたのである。
入口の方を見るとリアス様が入ってきたところで、後ろからラクス様も入ってきた。
のほほんとリラックスしていると、隣のカロエが、あああ!!!と声を上げた。見ればカロエの前にはラクス様。
「な、な……」
「カロエー。こういう時ぐらい休まないとダメだよー」
「だけど……ラクス様……もう少しで……完成…………」
言っても無駄だとわかったのか、ガックリと項垂れてカロエはお風呂の縁に体を凭(もた)れた。
「それにしても、皆あまり来ないんですね?」
「………………ん?誰のことを言ってるんだ?」
僕の声に反応したリアス様が聞き返してきた。
「え?リハル様とか。そういえばトルン様は一緒じゃないんですね?」
「あはは。旦那様達は入口で警備だよっ」
ラクス様が楽しげにそういってばしゃりとお湯をこちらにかけてきた。
「うわっ、……え?」
「トルンなんか居たらところ構わずだ。それだったら部屋のお風呂を使った方がいいだろう。わざわざこっちに来る必要はない」
「え?じゃあ……なんで……」
「気分だよー。たまには広いお風呂に入って癒されたいでしょ?」
「そう。ゆっくりとお風呂に入る時間が……」
ああ、この人達はこの人達で大変なんだなと無理矢理結論づけておく。
「で、お昼のお話の続きなんだけど、カメリア様としてないってのは何か理由が?」
「えっ……あ、えっ?何か……問題でも……?」
「ファルムは使ってないのか?」
「あ、あれは……カメリア様の前以外ではつけないようにと言われてしまいまして……」
「なら今日付けてみたら?リアス持ってるよね?」
「違う香りの方がいいかな?」
相談し始める二人に戸惑う僕。
「ええと……部屋はどうせ違うんですし……付けたら怒られませんか?それにサクア様が……」
「えっ……サクアに好かれてるの?」
「ああ、パーティーの時すごく迫られてたな。あれはあれで執念深いからな。早めに断っておいた方がいいぞ」
「カメリア様がサクア様に近付けてくれませんので……会話もちょっと……」
「修羅場だー」
「父様、楽しんでる場合じゃないですよ」
「だってカメリア様だよ?あの、人妻狙いの手早いカメリア様だよ?」
「この場合自業自得ということで片付けられないこともないけど……」
「あの……人妻狙いの手早いカメリア様とは……」
カメリア様の過去を知れるチャンスだ。逃がしはしない。
「カメリア様はねー、美人さんで反応が面白くて大事なものを持ってる子が好きなんだけど、そこに人妻っていう肩書きを持ってると颯爽と口説きにかかるっていう……んーと?フローラとカーリス様と他にもいっぱい口説いてたね?」
「本当に……夫婦喧嘩を止める方法としては最適ですけど、度が過ぎると面倒でした」
「リアスも最初は口説かれてたね」
「父様こそ口説かれてましたね。お陰でこちらにも迷惑かかったんですよ」
「それはまあ、愛ゆえに」
可愛くウインクしたラクス様に不覚にもトキめいた。
「でもまあ、今はスアムもいて、他にちょっかい出して無いようだから結果オーライじゃないかな?」
「これも愛ゆえ」
リアス様もそういって納得したようにうんうん頷いていた。
「でも全部未遂だって聞いてますけど」
カロエがそっと口を挟んだ。
「そうそう。未遂だから面倒な問題になってないんだよね」
「だから本気では狙っていないんですよね?」
「そう皆わかってたからスアムが出てきて皆驚いたんだがな」
「えっ」
三人の視線が僕に集まった。
「僕のどこがいいのでしょうかね?」
「まあ、それは本人に聞くといいんじゃないかな?」
「確かに」
「そうだな」
聞き出そうとしても逸らされるのがオチなのだが。
ふとリアス様の手首にブレスレットが着いてるのが目に入った。
「リアス様、それ……外さないんですか?」
「うん?これは外れないやつだ。お前のそれと同じ。ついでにラクス父様も着いてる」
「うん。僕も着いてるよー」
「こ、これ希少なのでは?」
「確かに希少だな。魔界に七つしかない」
七分の三がここに集結……。
「カメリア様も収まるところに収まったから安心だー」
「本当安心。でもルーにちょっかい出してくるのはやめて欲しいかな」
「えー、トルン様もカメリア様もどっちもどっちな感じがしますけど」
「二人とも似てるんですね、きっと」
確かに……と全員納得した。
ガララとドアが開く音が聞こえ、見ると気だるげそうなアシス様が入ってきた。
「入口で井戸端会議してたから何かと思ったらやっぱり護衛ですか……」
「あ、アシスー。綺麗な赤い痕だね」
「ラクス御祖父様も綺麗な赤い痕ですよ」
お湯が乳白色だったから気にならなかったが、お湯で温まったほんのり色づいた肌に赤い痕が点々と咲いている。それはリアス様も同じで、気づくとそこばかりに目がいってしまう。
アシス様が湯船に入ってきて、赤い痕をじっと見てしまう。すると嫌そうに半眼になったアシス様がじとりと睨みつけてきた。
さっと目を逸らす。やはりスピア様に言われた、気に入られている、ということは無いと思う。
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