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君の存在
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海水浴三日目。
宣言通り今日はカメリア様が参加することに。そして、今日の僕は救護班だ。
なるべく魔力を使わないようにと言いつけられ、気温調整の魔法はカメリア様が僕にかけてくれた。
それくらい自分でできるのに、とは思うがカメリア様に包まれてるみたいに安心するから何も言わなかった。
今日はロキ様が子供の番で、ケイル様が参加するらしい。隣に座ったロキ様の手のひらの上にちょこんと座っている様はとても可愛らしい。
「本当、誰でも赤ちゃんの時は可愛いですよねー」
カロエがつんつんと子供の頬をつつけば、嫌な顔をしながら必死にカロエの指退かそうと小さな手で押しているのだが、その抵抗は無いに等しい。
「カロエ、嫌がってるよ……」
「そこが可愛いんだよ~」
ぷにぷにと触るカロエの指を掴んで噛み付こうとしたが寸前で逃げられるという赤ちゃんにとって屈辱だろう行為に溜め息が出る。
開始の合図があったのだろう。いきなり轟音が響き渡った。
色んな魔法が出現し、時には刃物が交じわい光っている。
カメリア様の姿を探していると、相変わらず余裕の笑みを浮かべて相手を弄んでいた。
「グレン様の攻撃に対応してる…………」
どんなに素早く攻撃しても躱されたり防がれてしまえば意味が無い。グレン様が目に見えないくらい素早く攻撃しているのに、カメリア様は風の戯れのように必要最低限で避けている。
「グレン。そんなもんか?」
「ッチ……」
地面に手をついて小さく詠唱したグレン様は再び連撃を開始した。
防御魔法で防いでついでに魔法をグレン様に飛ばしていたカメリア様はなにかに気づくと、ニヤリと笑って指先にキラキラとした光魔法を纏わせると円を書くようにくるりと回った。すると、カメリア様の半径2メートル辺りの地面が爆発した。防御魔法で無傷なカメリア様が自らの鎌でグレン様の鎌の攻撃を迎えた。
「さすがにバレますか……」
「そうだな」
キィンと高い音を鳴らして両者離れた。
鎌の扱いもグレン様に劣らない。魔法操作も的確で鎌の使い方もスマートで無駄がない。
グレン様の戦い方を初めて客観視したが、彼の戦い方はものすごく好戦的だ。噂通りである。変わってカメリア様はその逆。今回のみの戦い方だろうか?それともこれから仕掛けるのだろうか。
二人の戦いを黙って見ていると、ぐいっと服を引っ張られたのでそちらを見ると、ロキ様の子供が僕の袖の中に潜ろうとしていた。
「わわっ、だ、ダメですよ」
慌てて引き剥がして僕の手のひらの上に乗せると、ムスッとした顔になった。
「お父様の戦い方を見ておきましょうね」
お父様という言葉に反応したのか結界の向こう側に視線をやった赤ちゃんの体を見やすいように向ける。
指を差してうーうー言っている赤ちゃんに、そうですねと返しながら僕も他の方々の戦いを見ていると、ぐいっと袖の裾を引っ張られた。
「なんですか?」
「しゅき?」
「え?」
「とーしゃま」
「えーと?ケイル様のことは尊敬していますけど」
「んー」
赤ちゃんという存在に触れる機会がなかった為かどれくらいの成長でどれだけのことができるのか分からなかったが、この手のひらサイズの小さな体の時点で結構話せるらしい。
「マルク、おまえのことしゅきだぞ」
「え?はぁ……ありがとうございます?」
マルクとは自分のことを言っているのだろうか?満足気に微笑んだ赤ちゃんは僕に体を預けて結界の向こうに見入っていた。
そういえば、ロキ様はどこに行ったのだろうと見回すと、なにやら楽しげに兄弟達と談笑していた。赤ちゃんは見ていなくていいのだろうか。
僕の視線に気づいたロキ様は、ニコリと笑ってマルクを頼むよと頼んできた。断る理由は僕にはない。こくりと頷いて僕も戦いに見入った。
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