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何をそんなに青ざめることがあるのだろうか。
僕から離れたカメリア様は尻餅をついた少年の前に立ち見下ろすと、手のひらに小さな炎を出した。
「気配の察知くらいはできないとリアスが嘆くぞ」
少年は口をパクパクしながらこくこく頷く。
「次からは気をつけろ」
再び頷く少年。その後ろで立ち止まっている少年の視線は僕に向いている。
…………何故僕?
「ミロ様、後ろにいるのは…………雑種では………っっっっ」
僕を見ていた少年が一瞬にして全身が光の縄で動けないよう拘束された。首を絞めている縄がギリギリと食い込んでいて苦しそうだ。
魔法を発動したのは他でもない、カメリア様だ。
「お前、今なんて言った?」
手のひらにあった小さな炎はいつの間にか消えていた。代わりに光の縄を握っていた。
「雑種、と聞こえたが…………間違いはないか?」
ぶわっと広がるのはカメリア様の殺気だ。ぞわっと僕も鳥肌が立つ。ちらりと尻餅をついた子を見れば青ざめたままカタカタ小刻みに震えていた。
「か、カメリア様っ……僕は大丈夫ですのでっ」
「お前の意見は聞いていない。不用意な発言の責任はこいつにある。責任はしっかり取らせるのと……オレの前では礼儀が必要だということも教える」
縄を握った手とは反対の手のひらにすうっと光の玉を浮かべると、拘束された少年に向かって飛ばした。小さな爆発が起き、少年の腕から血がポタポタ落ちた。
いつの間にか結界が張られていたせいか窓や壁、床に傷や煤はない。
「っつあ……うう……」
「クリダ兄ちゃんっ!!!」
駆け寄ろうと立ち上がった少年はカメリア様に突撃しようとしたが、上から圧力をかけられ、床に伏せたまま起き上がれなくなった。
その光景は北の岩山で僕が地に伏せていた時と同様で、こんな状況なのに懐かしく感じてしまった。
「さて、半殺しか、虫の息か、どちらがいい?…………聞くまでもないか…………」
光の玉を数個出すとそれを躊躇いもなく拘束した少年にぶつけていく。周りにいた子供たちは自分の防御に精一杯で、助けられる余裕もない。
僕の方に攻撃の余波が来ないのはカメリア様がきっちり結界を張っているからだろう。
何度も放たれる閃光に耐えながら見ると床に張られた結界の上にぽたぽたと血が広がるのが見えた。地に伏せている子供は既に大泣きだ。
「か、カメ…………」
「カメリア様」
僕の声を消すように、凛とした声が廊下に響いた。
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