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デビルマタンゴ
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「噂って?」
そもそもベストルド邸の方々の噂は枚挙に暇がない。けれど自分が噂されるのは慣れないし、話題は恐らく良いものではないだろう。
聞いてみてもスレビルは曖昧な顔をするので、予想は当たったとみる。
「えっと、タリズ君はすごいと思うよ。平民出なのに周りよりも魔力の使い方が上手いし」
以前カロエに魔力の使い方が雑だと言われたのだが、スレビルのこれはお世辞ととってよいのだろうか。
「はは。ありがとう。でも僕の得意な魔法はバリアなんだ。だから基本的に後方支援かな」
「そうか。じゃあ他のヤツらにも聞いてみて陣形考えてみるよ。教えてくれてありがとう」
颯爽と他の者の元へ行くスレビルをみて、ほっと息を吐く。確かにバリアは得意だ。攻撃も出来ないことはないのだが、前に出て注目を浴びたくない。後方支援でも教授は見てくれるはず。それにチームワークが大事だとニキヨン教授も言っていた。
実戦棟に着くと、そこにはデビルマタンゴ中級がいた。大きな檻の中にわんさかといたので、各チーム一匹ずつ相手にするのだろう。
通常のマタンゴならば燃やして終わりだが、デビルマタンゴは少し違う。デビルマタンゴ初級ならばマタンゴとさして変わらない攻撃方法で十分だが、デビルマタンゴ中級は一体が三つに枝分かれしていて、それぞれ自我があり属性が違う。なので攻撃する時は適した属性の魔法を使ってひとつずつ倒すのがセオリーだ。攻撃力が高ければどの属性であろうと倒すことができるが、それができる者はやはり限られてくる。
「なんだ。この間のデビルマタンゴ捕獲任務はこのためだったのかー」
フラビがつまらなそうに言うとニキヨン教授は呆れたように息を吐いた。
「今回みるのはチームワークだ。心してかかるように」
「はいはーい」
任務慣れしているフラビにとってこの試験はお手の物だろう。
実戦棟の半分を結界で囲み、それをまた半分に分けて陣地が作られている。先生はチームを二つ呼び各陣地へ入れる。デビルマタンゴを陣地に一体ずつ送ると、「始め!」と開始の合図を出した。
デビルマタンゴの本能は繁殖。頭の笠のネバネバした緑色の粘液が肌や武器に付いたりすると、そこからキノコが繁殖し始める。そのキノコの集大成がデビルマタンゴとなる。つまり、基礎知識と戦闘センスが求められるのだ。
デビルマタンゴといえば魔界でもよく知られる生き物なので知らない者の方が少ないが、扱いはやはり教わらなければわからない。でも始めに教わる基礎の基礎なので学園に通っておいて知らないなんて論外だろう。
あっという間に順番が来て、スレビルに言われた通り後ろから皆を結界で守ろうと思ったのだが何故か皆後ろで固まっている。
「……?誰が攻撃するの?」
「あ?お前がやれよ」
「庶民のくせに気安く話しかけてくんじゃねーよ」
協力する気がないらしい。スレビルを見るが困った顔を返されるだけだった。
「おい、早くしろ」
痺れを切らしたニキヨン教授が僕をみる。
仕方ない。やるしかないのだ。
デビルマタンゴに向き合うと、「始め!」と合図が出された。
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