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怒りの矛先
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さわりと風に乗って微かに聞こえてきたのは聞きなれた声だったような。
「カメリア様。今アデアの声が……」
「タキアが扱いてるからな」
また何かやらかしたのだろうか。
「さて、夕食にでもするか」
「その前にお風呂入りたいのですが……」
「いいぞ」
そう言ったカメリア様は何故か僕と一緒に浴室に来た。
「い、いやいやいや。なんでついてくるんですか!?」
「昨夜も今朝も一緒に入っただろ?」
「事故です!流れです!今は特に何も無いので出ていってくださいっ!!」
カメリア様の背中を押して浴室から追い出す。
ふぅと一息ついて服を脱いでいると、当然のごとく浴室のドアノブが回されたので急いで抑える。
「ちょっ!!なにっ!!なんですか!?」
思いっきりドアを引かれ、ドアノブを掴んでいた僕はそのまま外に放られた。
「うっわわわっ!!」
「っと、そんな扇情的な格好して誘ってるのか?」
「…………。怒りますよ?」
「据え膳食わぬは男の恥ってな」
僕を抱き抱えたまま浴室に入っていくカメリア様はとても楽しそうだ。
「………………。怒りますよ?」
「怒ってるお前も可愛いな」
もう何を言っても無駄か。
下ろしてもらって、服を脱ぎ、早々と湯船に入る。
カメリア様も堂々と湯船に入ってくる。
「スアム……」
「………………。」
「怒るなよ」
怒ることをするカメリア様が悪い。
外方を向いて舷に肘をついてジっと壁を見ていると、背中から抱きしめられた。
「顔を見せて」
顎を掴まれ、カメリア様の方へ向かされそうなのでぐっと拒んだ。すると手に力を込めて無理矢理向かされそうになる。
「……………………っっっ」
「……こっち向け」
力尽きて力を抜くと、思いっきり向かされて首がボキッと変な音が鳴った。
「あ、すまん」
すぐに治癒魔法で治してくれる。……が、僕の機嫌が治るわけが無い。
「スアム?」
「ふんっ……」
「スアム。なあ、スアム」
「ああ、もうなんですか!?」
「やっとこっち見たな」
あまりにも嬉しそうに言うので僕は撃沈した。
反則だ。文句ない程美形なのに、華が舞いそうなほど嬉しそうな笑顔で僕と目を合わせる。
「もう……なんでもいいです……」
「なら、勉強がてら娼館にでも行くか」
カメリア様の口から出そうで出なかった言葉が不覚にも僕の胸に突き刺さった。
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