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その理由
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一体何を考えているのか。
娼館だなんて、浮かぶ限りの記憶に良いものはない。
あまりにも驚きすぎて固まっていた僕の頬で遊び始めたカメリア様の手をたたき落とす。
「な……」
「な?」
「何考えてるんですか!!」
「勉強しにって言っただろう?」
「勉強って……何を勉強しろと?」
「夜の営み?」
「そ……そんなの必要ありません」
「……でもなあ……。スアムは結構初(うぶ)過ぎるからオレが罪悪感というか……イケナイ気持ちになっちゃうのもどうかな、と」
「うっ……初じゃ……嫌……ですか……?」
「全然オッケー」
「じゃ、じゃあ別に……」
「ベストルドの屋敷の中でも結構遭遇しただろうが……まあ……単純にアレじゃ生易しいというか……」
「え…………」
一体この人の頭の中の基準はどうなっているのだろうか。
ベストルドのアレが生易しいと?
遭遇するだけで色々あてられて、参る前に慌てて逃げ出したくなるほどなのに?
「ほら、そういう顔。もっと激しいのなんて思いつかないんだろう?」
「う…………」
「だから少し学べ」
「でも…………」
「下町の管理されてない娼館じゃなくて貴族御用達の娼館だから大丈夫だ」
貴族御用達の娼館ならば警備は万全だろう。
「でも……そんな……人様のを観るのは……如何なものかと……」
ごにょごにょと声がだんだん小さくなって手で口を覆っていると、カメリア様が湯船の隣に置いてあった薔薇の花を手に取って花びらを一枚一枚剥がして水面に浮かせていく。
「…………参ったな。可愛過ぎる……」
「え…………?」
「なんで娼館で照れるのか。他人がセックスしてるのを何故見れないのか。気分の問題以前に耐性を付けようとしてるのが間違ってるのか?基本的知識はある程度有るはずなのに。何故だ?快楽に溺れたことがないからか?前戯である程度わかってるのに?」
「あ……の?カメリア様」
ぶつぶつと呟きながら花びらを水面に浮かべるカメリア様。
髪が湿ってしっとり濡れていて、時折頬を伝う雫が首を辿って落ちていく様なんて正直エロい。水も滴るいい男なんてよく言ったものだ。
パーティーの時のカメリア様も、先生をやってるカメリア様も、実家に戻った時も、寂しそうな時も、僕を見つめる時も、それ以外も、いつも僕のこの胸は早鐘を打つというのに。それに浸る余裕もなくカメリア様は僕を狩りに来る。
馴れるまで時間の問題だが、このドキドキに浸っていたいと思うのも悪くないと思う。
「とにかく、明日にでも娼館に行くぞ」
「え……えぇ……」
「見ればお前も変わる」
「はぁ…………」
とにかく悪い顔をしてますカメリア様。
斯くして風呂から上がり、食堂へ行くと鶏肉料理があったのでビクッと大袈裟に反応してしまった。
少し面白そうに笑うタキアさんの斜め横に控えているのはそこそこボロボロになったアデアだった。不機嫌そうにこちらを見ていたが、タキアさんに注意されていた。
食事を終え、部屋でカメリア様に渡された音魔法の本を読んでいると軽々と抱えあげられ、カメリア様の寝室へと連れてこられた。
「寝るのぐらい一人で大丈夫でしょう?」
「何が淋しくて一人で寝なければならない?」
「僕は何故一緒に寝るのかの方が甚だ疑問です」
「………………好きだから」
ギュンと胸を掴まれた気分だ。
何回不意打ちするのだろうこの人は。
「…………ま、まあ……それ……なら……」
自分で答えておいて、なにがそれで理由なのかも分からない。
そっと邪魔にならない程度に抱きしめられて、次いで髪を弄ばれる。
「癖にしないでくださいよ」
「さあ、どうしようか」
「………………まったく」
大人しく目を閉じる。明日も試験なのだから休まなくては。
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