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暁の星
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目を覚ませば時計が目に入った。いつもの時間だ。
圧倒的な存在感に、眠っている者の温もりが心地よくて二度寝してしまいそうになる。
ぎゅう、と抱きつくとカメリア様が起きた気配。
「おはようございます」
「………………おやすみ」
「ちょ……ちゃんと学校送って下さいよ!?」
「わかってる」
起きる気がないようで、ベッドから降りようとするが捕まってしまう。
毎度思うのだが、どうしてここまで力が強いのか。全力で引き剥がそうとしているのにビクともしない。
「カメリア様。起きたいのですが」
「う……ん。もう少し……」
背中に顔を埋められて体勢的につらい。
「アデア」
「……んだよ…。うわっ!!」
ポンと来たアデアの尾にいきなり火がついて、アデアがすごいスピードで部屋を出ていった。
カメリア様を見れば、射殺しそうなほど鋭い視線をアデアに向けていて、アデアは一体何をしたのかと、主として心配になった。
斯くして僕は脱出不可能になったので別の手立てを考える。
何かエロいことして起こす。いや、便乗されたら今日体が怠くなる。
魔法を使う。いや、そもそもカメリア様に適う魔法なんて僕は使えない。
タキアさんを呼ぶ。……これが一番だ。
「タキアさーん!!」
「失礼します。何か?」
「カメリア様が放してくれなくて……」
「……スアム様は朝食まで何かしたいことでも?」
「せっかくなので魔法の練習を少し……」
「魔力はできるだけ温存していた方が良いかと」
「なら散歩に……」
「宜しければ主人の御相手をして下されば幸いです」
つまりそれは、このままカメリア様に付き合っていてくれということか。
「無理矢理……起こしても?」
「構いませんよ。今日は特に大きな仕事も入っておりませんので」
「わかりました」
まあ、つまりタキアさんは僕の味方って言う訳ではなく、この主人がどうしたいかを汲み取って快適に動けるようにする事で、この主人が動きたくないのならばそれに従う、と。忠義ものだ……。
「はあ……カメリア様、起きてください」
ゆすゆすと揺らしてみるが起きる気配はない。
髪を触ればサラサラだ。髪を避けて耳を出すと、美形は耳の形まで綺麗なのか……。
パーティーの時の髪型は確か片耳に髪をかけて、全体的に後ろに流す髪型だった。かっこよかったな。
耳に口を近づけて、ふっと吹きかけてみたが特に反応はない。
つまらない。ぼふんと布団に寝転がると、カメリア様がわざわざ抱き方を変えてきた。というかこの人は起きているだろう。
「カメリア様」
「………………」
「カメリア様。襲っちゃいますよ?」
「…………どんな風に?」
「起きてるじゃないですか」
「寝てる」
「えええ……」
「というか……寝室に余計な者共呼ぶなどけしからん」
「…………けしからん、て……。カメリア様が起きないのが悪いんじゃないですか」
「それはそれ。これはこれ」
「それにアデアが何かしたんですか?」
「寝起きのお前を見た罪」
「どんな罪ですか!!ああ、もう……アデアが僕の寝起きを見るなんて今回が初めてじゃないだろうし……」
「もう一回焼き鳥にした方が……」
「やめてください」
ピシャリと言い放つとカメリア様が口を噤んだ。
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