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意気込み
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「大丈夫。初日は失敗しないようにヒールじゃなくて、ブーツ型にしたし、ドレス型じゃなくてズボン型だから、下手に誘われないし」
「ズボン型だと誘われないの?」
「今のところレスファイア特有の遺伝だから、他じゃ珍しく見られるよ。そもそもカメリア様は山籠りしてたわけだから今更奇異の目で見られたって痛くも痒くもないのだろうけれど。スアムも気にしちゃダメだよ。こうやって奇異の目で見たって、魔王様もレスファイアの遺伝で生まれたんだからさ」
「ん。そうだね」
まぁ、パーティーで一番心配なのはカメリア様が怒らないかどうかだ。意外にも沸点が低いのだ。意外でもないか。カメリア様が怒ったら僕では止められないだろう。怒りの程度が軽ければ止められるかもしれないが。
「で、スアム、明日少し衣装合わせして欲しくて……」
「あ、明日はカメリア様とデート」
「そっかぁ。でも、時間とらせないから早朝でもお願いできないかな?」
「早朝なら、大丈夫」
定刻通りに起きるカメリア様だし、デートの時間も朝早くではないので間に合うはずだ。
「良かった。ありがとう。明日の朝食前でも大丈夫?」
「うん」
「ありがとう」
ぎゅううっと抱き締められて、カロエの背中をポフポフ軽く叩いて、離れた。一瞬スッと背中が震えるような気を感じたが、気のせいにしておこう。
でも少し気になってチラリと後ろを見ると梟姿のアデアがすごい形相でこちらを見ていた。戸惑いつつも平静を装う。
「社交シーズンが終わるまで、肌から服までスアムのプロデュース頑張るよ!!」
そういうカロエの方が社交界で忙しいのでは?と思うのだが本人が楽しそうなので、まぁいいか、と思考を放棄する。初めての僕よりカロエの方が要領を知り得ているだろうし、繋がりだってより強固だろう。
「僕も恥さらさないように頑張るよ!!」
頷きあって、カロエがまたね!!と部屋から出ていった。
さて、明日デートで、カメリア様が下町に連れて行ってくれるというから、素直に喜んだものの、カメリア様は何をしに下町へ行くのか。
考えても答えは出てこない。
それも聞いてみれば分かるのだろうけれど、今の状態のカメリア様が素直に話してくれるとは思えない。
どうしてこうなったのか。
確かに原因は僕にあるとはいえ、おいそれと許すことも出来ない状況とは、実に無力さを覚える。
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