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紹介
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挙手したディーラにみんなの視線が向く。
「すいません。えーと?誰ですか?」
は?というような顔をしたカメリア様とアデア。紹介していないのでディーラが知らないのも当然だ。
「アデア、放してあげて」
でも、とまごついているアデアだが、僕がもう一度言うとディーラを放した。そして不服そうにベッドの端に座る。
「ディーラ。このでっかいのがアデア。さっきの梟だよ」
「自己紹介雑だろ。もっと俺様を称賛しながら紹介しろ」
「で、こちらの麗人がカメリア・ミロ様。北の番人と呼ばれてる御方だよ」
「説明が足りないぞ、スアム。重要なものが抜けている」
「で、こちらはディーラ。僕の幼馴染み」
「こんにちは。建築業のディーラ・パシクです」
アデアはもう用なしと思ったのか梟姿に戻り、僕の膝の上に座った。カメリア様の視線が痛いがアデアの方はもう気にしないと無言の主張だ。
「ははぁ、これが願いを叶えてくれるといわれる北の番人か」
「叶えない」
「え?叶えないの?」
「そもそも願いを叶えてくれるわけじゃないみたいだよ」
「ははあ……やっぱ、噂は噂だな。お前も相談なしに岩山行っちまったから皆ひどく心配してたんだぞ」
「それは……ごめん」
窓辺に寄りかかりながらディーラは呆れたように語ってくれた。
「それはそうと、スアム、紹介にひとつ抜けがある」
「べつに言わなくたっていいじゃないですか」
「何を言う。幼馴染みなのだろう?ならば祝ってもらうのも普通だろう?何を隠す必要がある?」
「え?なになに?スアム何か隠してんの?」
純粋な目でみられると罪悪感が湧いてくる。
「えーと…その……」
じーっと見られ、かあぁっと顔が熱くなってくる。
ぎゅうっとアデアを抱きしめると、ぐぇっとまた変な鳴き声が出たが今はそれどころではない。
「カメリア様は……僕の………婚約者…」
「婚約者?…………ん!?スアム!お前女だったのか!!」
「ちっ!!違う!!お前は今まで何を見てきたんだ!!」
「だよなぁ。お前にはちゃんとブツついてんもんなぁ。胸もデカくねぇし。あ、なら北の番人が女の人だったとか?」
「違う」
カメリア様の声が相当不機嫌なのだが、大丈夫だろうか。
腕から力を抜くと、アデアがぐでっと僕の腕に寄りかかる。
「男同士で?大丈夫なのか?貴族様なら子孫残さないと困るんじゃないか?」
「策はあるので心配いらない」
カメリア様が答え、納得したように頷いたディーラは、ニカッと笑った。
「スアムが幸せならそれでいいよ。つか、あとオレだけって思うと結構焦るなぁ。将来的には嫁さん欲しいし。とびきり可愛い子がいいなぁ」
「ディーラならすぐでしょ?」
「言ってくれるぜ……式挙げるときには呼んでくれよ?」
「もちろんっ」
元気よく答えたのはいいものの、結婚するのだという実感を突きつけられて、かあぁっと顔が熱くなる。
「ははは。相変わらずだなぁ、スアムは」
かしゃんと窓を大きく開けたディーラが縁に足をかけた。
「じゃ、仕事戻るわ。ヴィレイにも会っていけよ。じゃ、達者でな」
サッと身軽に屋根の上へ乗ると隣の家の屋根へと伝っていく後ろ姿は相変わらず子供の時のままだ。
懐かしく、ずっと窓の方へ視線を向けていると、サッと手の前を手で隠された。
「なにするんですか」
「いつまで見ている」
「ボーッとしてただけですよ」
「して、ヴィレイとやらは?」
「もう一人の幼馴染みです。仕事してるなら街にいますよ」
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