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存外
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いつものパターンといえばいつものパターンだ。すんなり離してくれる御方でもない。
「水を飲みます。離してください」
「お前は……元の生活に戻りたいか?」
「……どういうことですか?」
オレについてこい、オレのもとに来いなど言ってきた御方が何故ここでそう聞くのだろう。僕の覚悟は決まっているというのに。
「……仮に僕が、帰りたいと言って、カメリア様は僕を返してくれますか?」
「……いや」
「なら、その質問は不毛ですね」
カメリア様が心配している類はおそらく僕のことを思ってのことだろうが、現状は現状だ。逃げてもいいが、僕は逃げたくない。
「……そりゃ、辛いといえば辛いですし、苦しいといえば苦しいです。けど、それ以上に、僕は貴方と居たいです」
結局何をしていてもカメリア様を思い出しているのだから世話ない。あのお菓子が美味しいんだと聞けばカメリア様と一緒にお茶した時にでも、と思い至るし、テストの点数が悪ければカメリア様に鼻で笑われると考えてしまうし。結局のところそういうことなのだ。照れてしまうくらいに好きなのだ。
ちらりとカメリア様を見れば、ピクリとも動かない。せっかく答えたというのに、なんという反応だ。
「カメリア様?」
「まったく。最初は口の利き方もわからない少年だったのにな。お手上げだ」
なぜか困ったように笑うカメリア様だったが、雰囲気は悪くないので良しとしよう。
さっさと水を飲みにキッチンへ行くが何故かカメリア様もついてくる。
「なんですか」
水を飲んでいる時に抱き締めてくるのはやめてほしい。
こくこくと水を飲んでいると、案の定カメリア様が抱きしめてきた。おかげで少しこぼした。
「っ、飲んでるときはやめてください」
「やだ」
いい大人がなんだ。
「カメリア様」
「様いらない」
「………カメリア」
「ん。」
コップを取られて、横に置かれる。
横からずいずいと頬にキスされ、観念してカメリア様の方を向くと口にキスされた。
「んっ……」
閉じていた目を薄く開くと、カメリア様の瞳が少し見えて、あぁ、本気なんだと悟る。
「っは、んっ……」
いつだって、僕は及ばない。反撃しても効いてるのかどうかもわからない。判らせてくれない。
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