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追跡
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ハッと目を覚ますと、ふかふかのベッドの上にいた。隣にステムがいて、その隣にイクルがいた。その隣にカメリア様だ。
ぬくぬくとした子供体温はちょうどよい。
ステムに抱きつこうとしたら、カメリア様にじっと見られていた。
「お、起きてたんですか」
「寝てる」
「起きてますよね!?」
むっすーとした顔ですごく訴えられている。
時刻を確認して、仕方なくベッドから降りてモーニングティーを準備していると、カメリア様が当たり前の顔でソファーに座っていた。
「何飲みますか?」
「ブレンド」
「はーい」
カメリア様お手製の紅茶だ。二人分作ってテーブルまで持っていく。カメリア様の隣りに座って紅茶を飲んでいると、するりと腰に手が回ってきた。
「………カメリア様?」
「抱きつく相手はオレだけにしておけ」
「………くふっ……あははは」
「なんだ?」
「子供に嫉妬してどうするんですか」
「子供だ子供だと思っているうちにいつの間にか狙ってくるハイエナになってんだよ。お前も肝に銘じておけ」
「そうなんですか?………わかりましたー」
モーニングティーを飲んでいると、ステムとイクルが起きたようで、二人してムクリと起き上がった。
「おはよ、ふたりとも」
「ん、おはよ…」
「おはよ……ございます……」
「紅茶飲む?」
「いただきます」
寝起きはイクルの方がいいらしい。はっきりとした返答に、僕は紅茶を二人のもとへ持っていく。
紅茶に口をつけて覚醒したステムがイクルに大丈夫か!?と掴みかかった。
「えっ、わっ、ステムっ、なんだよ!?」
しまいにはぎゅうっと抱きしめられたイクルは、悟ったようにステムの背中をぽんぽんと撫でる。
「ごめんな、ステム。心配したよな」
「心配とかっ、そういうんじゃなくてっ!!全部アイツがっ!!アイツが悪いんだっ!!」
「ステム……」
ハッとしたようにこちらを向いたイクルが、失礼しました、とベッドから降りようとしたので、いいよ、そのままで、と伝えた。
「カメリア様」
「はぁ……。行くぞステム」
「えっ!?」
紅茶はテーブルの方へ置かれ、ふわっとステムの体が浮き、カメリア様とともに部屋から出ていった。
取り残されたイクルが身構える。
僕はばふっとベッドにダイブする。
「僕はまだ貴族じゃないからさ、そういう事情はよく知らないけど……傷付いてる人は見たくないんだ」
「………リアス様達のように?」
「そうそう」
「そう、ですね。ステムには言わないで欲しいんですけど……」
「うん」
言いづらそうにもごもごと口を動かすイクルが数分後、意を決したように口を開いた。
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