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王城第一部隊隊舎に行くため、門をくぐると複数組み合わさった結界を抜けたのが分かった。
防御、遮音、遮光、魔力感知等々複雑ではあるが構成されている魔法陣の形が美しい。誰が作ったのだろうか。
王城第一部隊といっても戦闘部隊だけではなく、事務や医務もある。まぁ、どの人もずば抜けて優秀なのは会っただけでわかるのだが。
はてに、運動場の方からくるビリビリとひりつくくらいの魔力量を平然と受け流すくらいには。僕だってそれくらいはできる。けれど大きな音が響くとビクッとしてしまうのは未だ実戦の経験が少ないからだろうか、身構えてしまう。
「スアム・タリズ様をお連れいたしました」
「入れ」
ガチャリとドアを開けて中へ促してくれる。ドアが閉まってリアス様と二人きりになる。
「カメリア様は来なかったんだな」
「まぁ…はい」
来ない代わりにめちゃくちゃマーキングされたのだが。
「第一部隊はきっちりしてますね?」
「どこと比べて?」
「第二部隊です」
「あそこは自由主義だからな。オレはある程度統率が取れていたほうが行動しやすいと思うんだが……まぁ、そこらへんは部隊の特徴が出るな。グレンのところもまた違う雰囲気だ」
「隊長によって違うんですね?」
「あぁ。だからこそ選び甲斐があるんだけどな。さて、今はこんな話より、イクルの話を聞きたいんだ」
「詳細を知るのは、ラクス様、リハル様、リアス様、アオル様だけでよろしくお願いします」
「了解した。そのメンツでことは運べるから大丈夫だ」
「それと、ステムと両親などに知られないように、と本人が」
「………あぁ、なるほど。まぁ、こちらが言わなくても自分から入っていくだろ」
それらを踏まえた上でイクルとの会話を全て話した。
「なるほど、わかった。ありがとう。スアムがいて助かったよ。身内じゃ話してくれないだろうから………それに………いや、なんでもない」
とても気になるではないか、そんなところで止められては。
「ありがとう。ハンプディストまで送るよう言ってあるから道中安心してくれ」
リンとリアス様が鈴を鳴すと失礼します、と声がかかった。
「スアム、君はもう何もしなくていい。なんなら忘れても構わない。ここからはレスファイアの管轄だ」
つまり自分は体良く使われたということか。別に嫌ではないけれど。
「結果くらい教えて頂いても?」
「あぁ、それくらいなら、褒美として教えることにしよう」
「ありがとうございます。では失礼しました」
ぺこりと頭を下げて部屋を出る。
レスファイアの管轄。こういう言い方だと、リハル様とトルン様は関与できないのだろうか。実質ラクス様は権力を持っている訳では無いので、リアス様単独という勢力図になりそうだけれど。それにアオル様も言わずもがなである。
なら、マフセフ様の勢力図はどうなのだろう。
レスファイア家のホウシ様のご子息。リアス様とは従兄弟であるということか。顔を見た事が無いので似ているか定かではないが、とんでもない御人だとは伺っている、というよりもイクルから話を聞く限り極悪人にしか思えない。
魔界に極悪人。これ以上ピッタリな人物はそういないだろうが、正直魔界に住む側としては居ないで欲しいのが本音である。狡猾は良い。しかし劣悪は褒められることではない。
魔界は魔界なりの美がある。それは下町にいても同じことだと認識している。
考える内に学校に着いてしまった。
「ありがとうございます」
「お気になさらず」
王城第一部隊の紋章が入った馬車から降りて、御者の方に向き直る。
「あの……」
「はい」
「隊舎の結界を張られたのはどなたになられますか?」
一瞬怪訝な顔をされた。何故そんなことを聞くのか不思議なのだろう。でも、あんなに綺麗な結界を張った方は素晴らしい腕の持ち主だ。
「貴方様の婚約者であられます、カメリア・ミロ様になります」
「そうですか。ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げて、校舎内へと向かう。
あぁ、やはりカメリア様はすごい御方だ。それと同時にカメリア様に追随する結界師は誰なのか知りたくもある。もちろん、四方の番人は別として。
「あっ……」
リアス様がカメリア様を尋ねた理由は結界についてのことだったのだろうか。
王都に来てからだいぶ引っ張りだこなカメリア様だ。そろそろ岩山に引き篭もりたくなっている頃だろう。
ふふふ、と一人ニヤついているとアデアが出てきて、そっちじゃないぞ、と服を引かれた。
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