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誇示
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レグ様と薬草のことや使い魔のことを話しているうちに番人会議が終わったのかカメリア様がやってきた。
「スアム、帰るぞ」
「では、私はこれで」
ペコリとカメリア様に一礼したレグ様がスタスタと客室を出ていく。カメリア様に近づくと、頭をわしゃわしゃ撫でられた。
「自分の身ぐらい自分で守れるようになれ」
「?、なりますよ。なってみせます!」
「早急にな」
「無茶振りですね」
「無茶でもなんでもやる時にはやらなきゃならないんだよ」
真面目な声に、身を引き締める。
魔王城からベストルド邸に戻ると、変に静かだった。
何かあったのかと身構えていると、双子の子供がとてとてとこちらへ走ってきた。
「北の番人、カメリア・ミロ様にご挨拶申し上げます」
「北の番人、カメリア・ミロ様のご婚約者スアム・タリズ様にご挨拶申し上げます」
ペコリと頭を下げる双子の子供がとても可愛い。
「何があった?」
「はい。我らが父上、アキラ・レスファイアより」
「緊急要請。人間界に散った月下光の雫を回収するべくレスファイアの姓をもち上級刻印を持つ者は全員出動」
「だいたい把握した。健闘を祈る」
なにか言いたげに双子はもぞもぞするが、カメリア様は構わず僕の肩を抱き、歩き始める。
「い、いいんですか?手伝わなくて」
「わざわざレスファイアに限定したんだ。下手に手伝えばレスファイアの家名に傷がつく」
「あ……そう、ですね」
静か、といっても邸に気配はある。恐らくベストルドの姓を持つ者達だろう。一番身近なベストルドが黙って邸にいるのに他人が助けに行くというのも悪い気がする。
談話室に行けば、ベストルド姓の者たちが集まっていた。
「笑いに来たのか?」
トルン様がいたことに、とても驚いた。
「笑う?生まれはどうしようもできないだろう?」
トルン様の投げやりな言葉にカメリア様が呆れた声で答えた。
すっかり不貞腐れているようで、ソファーに寝転がったままだ。
「トルン兄様、機嫌直してくださいよー」
楽しげにツンツンとトルン様の肩を突いたグレン様だが、すぐさまアイアンクローを食らってギブアップしていた。
バサバサと鳥の姿でタキアさんが来て、カメリア様に何かを伝えた。
「もう、任務が終わって帰ってきたぞ。扉が開いたそうだ」
ガバっと起き上がったトルン様がシュンッと空間移動でいなくなった。素早い行動だ。
一気に室内がざわつく。
「相変わらず仕事が早いなぁ」
感心するようにグレン様が言うと、隣のフィリア様が「レスファイアは優秀だからね」と口にする。
レスファイアが優秀なのは今に始まったことではないが、おいそれとそういうことを言っても良いのだろうかと不安になる。
ベストルドだって優秀であるし、ミロも優秀である。
チラリとカメリア様を見ると特になんの反応もなく、大丈夫なのかと納得しかけた。リハル様を見るまでは。
フィリア様の肩にリハル様の手が置かれる。
「レスファイア“は”???」
「失礼。レスファイア“も”ですね」
「そうだね」
二人してにっこり笑っているが、フィリア様はダラダラと冷や汗をかいていた。
「父様、そろそろ兄様達も帰ってきますし、ラクス父様の夕食もそろそろできる頃でしょう?」
グレン様がリハル様に言うと、フィリア様の肩から手を離しスタスタと扉の方に向かった。
「ラクスの様子を見てくるよ」
ひやりと緊張した部屋の空気が一気に緩んだ。
「ごめん、グレン」
「いいよ、フィリア。父様に何もされてない?」
「うん」
フィリア様の髪に口づけるグレン様。二人のイチャイチャぶりを見せつけられそわそわとカメリア様を見ると、手を取られ部屋の入口へと引き返した。
「カメリア様?」
「部屋に行く」
宣言通り僕の部屋へ来ると、僕の部屋なのにカメリア様がお茶を用意し始めた。
「座ってろ。話がある」
手伝おうものなら強制的にソファーに座らせられるだけだろう。
粛々とソファーに座ると紅茶を魔法でテーブルの上へ持ってきたカメリアが珍しく僕の向かいに座る。
「今日の会議は基本的に他言無用だが、一応お前にも関わりがあるからな」
カメリア様が紅茶に口をつけたのを見て、僕も紅茶を飲む。
いつもの、カメリア様のブレンドティーだ。ホッと息をつく。
「近々天界が攻め込んで来ると思うのだが……」
「よほど大きな勢力で来ると見ているのですか?」
「まぁ、そこそこ大きい勢力で来るのは分かるが、オレたちが懸念しているのはグベルグ爺さんだ」
「グベルグ様が何か?」
「恐らく半年は保たないと思う」
「それは……結界を維持する力がということですか?」
「結界は維持媒体があるから少しの間は保つ。ただ、世代交代を早めにしてもらわないと結界の維持の仕方と任命式の方が面倒なことになるんだ」
「グベルグ様は理解しておられるのでは?」
「頑固爺がそう安安と世代交代すると思うか?死ぬまで守るとか言ってるんだぞ?最悪だ……」
「なら、次世代の番人を予めこちらで決めておいた方がいいですね。グベルグ様が選ぶのならばそれはそれでいいとして、決めなかった場合の計画を練っておかなければいけないですね」
「まぁ………そうだな」
簡単に提案してしまったわけだが、どうやって次世代を決めればよいのだろう。
西の番人といえば、メインは妖精の森。けれども妖精は一癖も二癖もある。こちらが番人になってくれと頼んだところで引き受けてくれる可能性は低そうだ。
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