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来客
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この高い岩山をようやく登りつめた少年が四つん這いになって荒い息を整えていた。
「お疲れ、少年。風呂入るか?というか、入れ。その後に飯だ」
久々の来客に浮かれた声で言うけれど、少年が急いでいるのは雰囲気でわかる程だ。
「はぁはぁ……そ、そんなことはいいんです!!ぼ、僕のっ……お祖父ちゃんを助けて下さいっ!!」
「……んー?風呂入ったら飯な。その後に話を聞く。タキア、風呂と飯の用意」
「もう出来ております」
「さっすがオレの使い魔。頼りになるなぁ」
カメリアがタキアのクセのない茶髪をわしゃわしゃと撫でると、タキアは白銀の瞳を隠す様に目を伏せた。
「勿体なきお言葉」
「もっと喜んでもいいんだぞ」
「充分喜んでおりますが?」
「そりゃ良かった。じゃ、失礼のないようにそこの少年を案内してやってくれ」
「御意」
一礼してカメリアがその場から去るのを見届けると乱れた髪を手で直し、主人と同じ赤い瞳を持つ少年に話しかけた。
「初めまして。カメリア・ミロ様の使い魔のタキアと申します。お名前を伺っても宜しいでしょうか?」
「…………スアム・タリズ」
「では、スアム様。お風呂へ案内致しますのでどうか私の後についてきてください」
「…………え……。いや、僕はお風呂に入りに来たわけじゃ……」
「カメリア様は、貴方様が入浴後に 食事を済ませ、その後お話を聞かれると申しておりました。つまり、入浴と食事を済まさない限り面会は先程で終了となります。となるとお帰りいただく他ありませんがいかがなさいますか?」
「……お風呂入ります」
「では、こちらになります」
座ったままのスアムに手を差し出して、タキアはスアムを風呂場へと案内した。
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