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中学の俺とあなた 影山side
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久しぶりのあなたの笑顔は、鮮やかで眩しくて……
もっと、ずっと見つめていたくて
あんなに嫌われていたのに、どうしてまた笑顔を見せてくれるようになったのか分からないけど
これからもっと沢山あなたの笑顔を見続けていたい
見つめた先の、振り返ったあなたは
また綺麗な笑顔を咲かせていた……
練習後の夕日に照らされた及川さんを横目に、俺は拳を握り、動けずにいた。
一緒に帰りたいとか……図々しいよな…?
唇を開いては閉ざし、一歩踏み出しては戻るを繰り返す。
迷って、何も言えずに立ち尽くしていると、
「あ、あの! ちょっと良いですか?」
一人の女子が及川さんの方へと近付いて行く。
えっ!? もしかして、一緒に帰るのか?
そうするかどうかは及川さんの自由だ。
けど……でも、嫌だ!
行かないでくれ及川さん!
そう強く願ったけど、及川さんはそんな俺の願いには気づかず、女子の誘いに頷いてしまった。
「うん、良いよ」
女子と並んで立ち去っていく及川さんの背中を、どうすることも出来ずにただ見送るだけ。
行かないで!
なんて……俺なんかが言えるわけない。
俺は及川さんにとって、ただの後輩。
言っても及川さんは女子を選ぶに決まってる。
引き止めることなんて出来るわけない……
俺はトボトボと昇降口へと歩き出す。
そこで、ポンッと誰かが肩を叩いてきた。
隣へ目線を向けると、国見が俺の横を通り過ぎていく。
「国見……?」
「及川さん、屋上の方に行ったよ。
まだ帰ってないみたい」
国見は手を振りながらそう言って、立ち去っていく。
「……国見……」
「せっかく及川さんが名前で呼んでくれたんだからさ、お前も頑張って一歩踏み出してみれば?」
後ろから来た金田一もそう言って俺の背中を押して、それから国見を追い掛けていく。
なんか帰るついでみたいに言われたけど……
俺の心を動かすには十分だった。
“飛雄”
そうだった
他の誰も、名前で呼んでるとこなんか見たことない。
俺だけなんだ……
及川さんは俺だけを名前で呼んでくれる
特別……
なのかな……?
違うって分かってるけど……
でもそう考えただけで、顔がじわじわと熱くなっていく。
及川さん、まだ帰ってないんだ……
待ってても……良いかな?
俺は靴箱で靴を履き替えて、校門までしなくても良いのに何故か全力疾走して
走ったせいもあるけどそれだけじゃない、苦しくなってしまった胸を手で押さえながら、門の端に寄って
彼を待つ
なんかソワソワ落ち着かなくて
俺が待ってたら、彼は怒るかな?
それとも笑ってくれる?
どっちでもいい……とにかく名前呼んでほしい。
ソワソワ、チラチラと校舎の方を見ては、俯いてまた見るを繰り返していると、よく見知った人物がこちらへ近付いて来るのが視界に映った。
「あ…………」
目と目が合うと、相手はあからさまに顔をしかめた。
「影山くん……」
こちらを睨む人。
それはずっと待ってた相手、及川さんじゃなくて
一番会いたくなかった人物……
末岡さんが俺を真っ直ぐ睨み付けていた。
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