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中学の俺とあなた 影山side
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あなたのようになりたい……
いつもどんな時でも笑顔を絶やさなくて、友達が多くて
バレー部の主将で、誰よりも強く。
皆から尊敬され、信頼されている……
すごい人だと思った。
俺は今までこんな人と出会ったことなくて、すごいキラキラ輝いてて、憧れを抱かずにはいられなかった。
及川さんみたいに強くなりたい。
もっともっと強くなって、及川さんに近付きたい。
高い壁を乗り越えて
隣に並んで、あなたと同じ景色を見てみたい……
そうずっと思ってた。
あなたに追い付きたくて、必死にがむしゃらに練習に明け暮れた。
色んな人に教えを請い、もっとバレーの技を磨いて強くなって、あなたに
『すごいね、よく頑張ったね』
笑って頭を撫でて、認めてほしいんだ……
でも、憧れの人はやっぱりすごくて、どんどん前へ進んでいってしまう。
追い付こうともがいても、
あっという間に彼は強くなっていて、なかなか追い付けなかった。
「及川さん、またサーブの威力上がってる。
スゲーな……
俺はいつになったら及川さんに追い付けるんだろう?」
本当にすごい……かっこいい
だから、もっと憧れるんだ……
俺は楽しそうに岩泉さんと話している及川さんに、いつものように近付いた。
「及川さん! サーブ教えてください!」
笑って、持っていたボールを及川さんの方へと差し出す。
だけど彼は……
いつもの優しい笑顔を見せてはくれなかった。
「誰がお前なんかに教えるか、バーーカ!
さっさと帰れよ!」
「……え? 及川さん?」
彼には似合わない意地悪そうな顔で、べーっと舌をつき出してくる。
こんな顔の及川さん、初めて見た……
なんでだ?
いつも優しく教えてくれてたのに。
俺、気が付かないうちに何か悪いことしてしまったのか?
「バカはねーだろ? お前影山と仲良かったのに、どーした?」
「別に……影山なんかと仲なんて良くないよ」
苦笑いする岩泉さんの言葉に、及川さんは更に顔を歪めて、俺を冷たい言葉で突き放した。
追い付きたい、隣に並びたい
そう思っていたのに……
仲なんて良くないよ……
何かで殴られたような痛くて辛い衝撃が、俺の心を貫く。
泣きそうになる……
「岩ちゃん、早く帰るんでしょ? 行くよ……」
「お、おお…… 影山も早く帰るんだぞ……」
「……はい……」
なんでですか?
前まで笑ってくれてたじゃないか!
なんでそんなに冷たく突き放すんだよ……
苦しい……鼻が痛くなってきた。
「……及川さん」
押さえようとしてもどうしても震えてしまう声で、体育館を立ち去ろうとする及川さんの名前を呼ぶ。
こっち向いてください。
また笑ってくださいよ及川さん!!
心の中でそう叫んだ
それでも及川さんは振り返ることなく、体育館から立ち去ってしまった……
体育館の扉が閉まる音が、頭の中で重く大きく響く。
俺の心、想いが、体育館の扉で遮られて、
及川さんには届かなかった。
嫌われてしまった?
どうしてか分からない……
俺はこんなにも、あなたに近付きたいのに……傍にいたいのに……
許してくれませんか?
及川さん……
涙が頬を伝う
それは暖かいのに
零れ落ちた瞬間、一瞬で凍りついてしまった……
また、あなたの笑顔が見たい
笑ってください及川さん……
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