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中学の俺とあなた 影山side
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あれから及川さんの傍へと走り寄る毎日。
また彼の笑顔が見たくて、どんなに嫌な顔をされても教えを請い続けた。
そんなある練習試合の日
俺はいつものようにコートの中でキラキラと輝くようなプレイをする及川さんを、ずっと見つめていた。
でも、今日の及川さんはちょっと調子が悪いみたいだ……
やっぱスゲー上手いけど、いつもみたいなキレを感じられない。
大丈夫かな? 具合悪いのかな……
ハラハラしながら及川さんを見守る。
そして及川さんは、彼らしくないミスをしてしまった……
及川さん!!
立ち竦んでしまった及川さんの傍へと、すぐに駆け寄りたかった。
でも今は試合中だ、グッと拳を握り我慢する。
「及川もういい。影山入ってみろ!」
「は……ハイ!」
監督の強声が俺を呼び、慌てて立ち上がった。
フラりとコートから出てくる及川さんと擦れ違う。
やっぱり彼は具合悪そうな、暗い顔をしていた。
及川さん……ゆっくり休んで下さい……
及川さんの代わりなんて、俺にはまだまだ出来ないけど……
あなたの分まで、精一杯頑張ります!
………………
試合にはなんとか勝った。
初めて出た試合での勝利。
この喜びを及川さんにも伝えたくて……
でも及川さん具合が悪かったんだった。
何処に居るんだろう?
彼を探して辺りを見渡していると、体育館の壁に凭れて俯く及川さんに、岩泉さんが何か話しかけていた。
及川さん……まだ具合悪いんだ。
ただ心配で、彼の元へと駆け寄ろうとしたその時、突然腕を引っ張られた。
「わっ! な、何だ?」
「影山、今そっち行くな」
振り返る前に、国見の静かな声が耳に届く。
「そっち行くなってなんでだよ?
及川さんが心配なんだ、ちょっと行くぐらい良いだろ?」
「今行っちゃ駄目だ」
「な、なんで?」
「お、及川さんのことは岩泉さんに任せてた方がいーんじゃねーか?」
腕を引っ張る国見の横から、焦ったように金田一までもが俺を止める。
「影山お疲れ。試合勝てて良かったな……
疲れただろ?
及川さんのことは岩泉さんに任せよーぜ。
お前も試合で疲れてるんだし、今日は早く帰ってゆっくり休めよ」
「別に疲れてねーけど……
じゃ、じゃあ、及川さんに挨拶を……」
「だから、駄目だって言ってんだろ!」
国見の腕を掴む力が強まる。
な、なんでそこまで止めるんだよ?
「今日はもう帰ろう影山……
また及川さんの調子の良さそうな日に、声かければいーじゃん」
金田一にそう促され、国見に腕を引かれて、俺は後ろ髪引かれる思いでその場を後にした。
休み明けの体育館内に響く、床にボールが打ち付けられる音。
及川さんがサーブ練をしている。
その傍で岩泉さんが何か叫んで、及川さんにボールをぶつけている。
あんなにぶつけて大丈夫だろーか?
心配になりながらも、及川さんの元気そうな姿に安堵のため息を溢す。
及川さんの調子の良さそうな日に声をかければいい……
金田一の言葉を頭に浮かべながら、俺はいつものように及川さんの傍に走り寄った。
「及川さん、サーブ教えて下さい!」
「か、影山……」
「今のサーブすごかったっすね!
教えて下さい及川さん」
笑顔で持っていたボールを及川さんに差し出した
その時……
及川さんが今まで見たこともないような恐ろしい形相で、拳を振り上げてきた。
な、殴られる!!!!
「落ち着けボゲェ!!」
岩泉さんの強声が響き、
眉間にシワを寄せられた、悲しそうな及川さんの顔が俺の瞳で揺れた。
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