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おめでとうの呪い
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リ「どうしたんだい?」
エド「うぇっ!?あ、な、なんでもない!!」
エドがリオールに見惚れていると、心配そうに顔を覗きこまれた。
それに驚いたエドは盛大に声が裏返ってしまっていた。
リ「ならいいけど…」
エド「いいから!次は何を見せてくれるの?」
リオールはまだ心配そうにしているが、エドは構わず話を進めた。
リ「君のお誕生日さ」
ニコリと優しく微笑むとリオールはゆっくりと歩き出す。
エドも慌ててついて行く。
リオールの後ろ姿は、美しい長髪がキラキラと輝き揺れていて、思わず触れたくなるようなものだった。
エド「ど、どこ行くんだ?」
リ「まぁまぁ」
別の部屋に近づくと中から、オギャアオギャアと赤ん坊の泣く声が聞こえてきた。
エド「赤ん坊…?」
リ「フフッ、中を覗いてご覧…」
リオールに促され、そっと扉の隙間から覗くとそこには赤ん坊を抱いた母が、椅子に腰かけながら幸せそうな笑みを浮かべていた。
窓から差し込む光に照らされたその姿は、まるで聖母のようにも見えた。
エド「あの子…、俺なの……?」
リ「そうだよ。可愛いね」
エド「俺、本当にあの人達の子供なんだ……。シンデレラの…、弟なんだ…」
リ「うん。信じ難いだろうけど、それが真実だよ。少しづつ受け入れてきたね」
リオールは微笑んでいるが、エドはどうもまだ複雑な心のままだった。
リ「…………大丈夫。まだ終わりじゃないから…」
リオールがエドの優しく頭を撫でた。
その手はとてもとても優しくて、エドは泣き出しそうになってしまう。
エド「早く見せてくれよ…。俺がどうして捨てられたのか…」
リ「……わかった」
リオールが杖を振ると、明るい昼間だった外は、薄暗い夕方になっていた。
部屋を見ると揺りかごに乗せられた赤ん坊を、母が優しく見つめながら撫でていた。
「愛しい、愛しい私のエドワード…。私の宝物…。沢山眠って元気に育ってね」
あぁ…、なんて優しい声なんだ…
俺が、あなたに捨てられたの?
なんか、すごい悲しい……
エドが胸の痛みに耐えきれず、涙を零しそうになったとき突然大きな音が響き渡った。
エド「なんだ今の!?」
リ「窓が割られた音だ…!」
その音に母も赤ん坊を抱きかかえ、立ち上がって辺りを見回していた。
「な、なに…?」
「大丈夫か!?」
父もバタバタと部屋に駆けつけた。
自分たちのすぐ横を通り過ぎたため、エドはとても驚いたが、リオールはじっと夫婦を見つめ続けている。
「あなた!私達は大丈夫……。今の音は一体なに?」
「分からない……。一体どこから…」
「ハッ!あなた!シンデレラは!?」
「…!!いけない!」
父はまた慌てて部屋を飛び出し、ドタドタと階段を駆け上がりシンデレラの部屋がある2階に向かった。
「ど、どうしまょう……。怖いわ……」
母はガタガタと震えながら、ギュッと赤ん坊を抱きしめた。
「だーいじょうぶ♡なーんにも怖くないわ♡」
「………!!!」
母が振り返ると、そこにはいつの間にか1人の女がたっていた。
エド「だ、誰だあれ!!」
リ「魔女だよ……。とっても悪い魔女だ…」
眉間に皺を寄せ、女を睨みつけるリオールはとても機嫌が悪そうだ。
声からも嫌悪感がヒシヒシと伝わってきた。
「だ、誰なの!?」
「そーんなに怖がらないで♡私はただ、幸せを壊しに来ただけだから♡」
「どういうこと……?」
怯える母に向かって、ニコニコと無邪気な笑みを浮かべながら魔女は近寄っていく。
母は必死に赤ん坊を抱きしめて、庇おうとしていた。
だが、無慈悲な魔女は母を軽く痛めつけ赤ん坊を取り上げた。
「や、やめて…!!その子を離して!!」
「いいわね〜♡その必死な泣き顔!やっぱり幸せを壊すって楽しいわ〜♡」
魔女が先程とは違い、酷く恐ろしい笑みを浮かべながら赤ん坊の左胸にゆっくりと手を近づけていく。
だが、母が必死にそれを止めようと魔女に向かって体当たりをしていく。が、魔女はヒラリとかわしてしまった。
「必死ね〜。やっぱり愛ってやつ?」
「お願い!その子を返して!」
「おい!大丈夫か!?」
バンッ!と扉を開けて、2階から戻ったきた父が部屋に入ってきた。
「あら、もしかしてこの子のお父さん?」
「な、お前…!!その子を離せ!!!」
赤ん坊を抱きながら、ニヤニヤと父に話しかける魔女。
父はそれを見て怒りをあらわにした。
「もーぉ、2人とも落ち着いてよー。その親心に免じてこの子は殺さないであげるから♡」
「ほ、本当に…?」
「えぇ♡」
それを聞いて、安堵から母は泣き出してしまった。
「たーだーし!条件があるわぁ♡」
「え……?」
「まーず、子供は殺さないけど呪いをかけちゃう♡あと、お前たちは殺す」
「そ、そんな………」
「どうするー?子供が死ぬか。自分達が死ぬか…。呪いじゃ死なないかもだしー、どっちがいいかは明白だけどぉ?」
「く、クソッ………!」
魔女は容姿こそ美しいものの、ニヤニヤと笑いこの状況を楽しむその姿は酷く醜く、エドワードは怒りと共に吐き気が込み上がらせていた。
「わ、私は……!子供を…、守りたいわ…」
「お前……」
「あなた…、ごめんなさい…。でも、私は…」
「いいんだ。俺も同じ気持ちだよ…」
「あなた…!!」
「美しい愛ね〜♡」
感動の場面をぶち壊すように、甲高い声で魔女が笑い始める。
「じゃあ、契約成立ね♡まずは、子供に呪いをかけなくちゃ♡」
「待って!呪いって、なにをするの!!」
「そうねぇ〜。どうしましょうかしら…」
魔女がうーんと少し悩むと、あっ!と何か閃いたように声を上げた。
「素敵なラブストーリー♡子供が大人になったら王子様と結ばれるなんたどうかしらぁ♡」
「え……?」
「それで、私がそれをぶち壊す!!最高♡」
「結局壊すんじゃないか!そんなのあんまりだ!」
「うるさいわねぇ〜。気が変わるかもだし、今殺さないだけありがたいと思ってよね」
父の抗議に魔女は眉間にしわを寄せながら吐き捨てた。
「あ、でもこの子男の子だしなぁ…。あ!女の子も上にいるわよね!その子でいいわ♡この子はー………、あんた達が死んだ後苦労しないようにどっかに預ければ?」
「ひ、酷いわ!!そんなっ…、私たちを殺すのはいい!だけど子供たちにそこまでしなくていいじゃない!!」
「あー、はいはい。とりあえず今日のところは帰ってあげるから、赤ん坊捨てるなりなんなり準備しときなさぁい」
そう言うと魔女はフッと消えてしまった。
「あぁ……、そんな……」
「クソっ……、どうしてこんなことに…」
夫婦はその場に泣き崩れてしまった。
「お父さん…、お母さん…?」
その光景をエド達の横から、シンデレラが心配そうに見つめていた。
エド「酷すぎるだろ……」
リ「あぁ。あの女はクズだよ…」
知ってるやつなのか?と聞こうとしたが、リオールの怒りをむき出しにした表情に、エドは何も言えなくなってしまった……
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