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記憶
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見とれていたのに気付かれたくなく、俺は少し焦りながら目の前の酒を飲む。
ああ、確かに進めるだけあって美味いし飲みやすい。
はじめに飲むペースをはやめてしまうとペースを落とせずに次々と飲んでしまう。
そろそろ帰らなければ店側に迷惑が掛かると、会計を頼み、カウンター席からそのまま地面に足をつけたはずが、ぺたりと座り込んでしまった。
酒に詳しくない上に度重なる深夜までの残業でろくに酒を体に入れていなかったせいか思っていたよりもよってしまっていたようだった。
半田が俺に駆け寄る。
「お客様!大丈夫ですか!」
と声を掛けられ、反射的に、というよりは酔っぱらいの定形であろう。
「大丈夫だ、」
と言うとすぐに見かねたマスターらしき男が、
「陽。送って差し上げなさい。」
とおそらくタクシーだろう──に電話をかけながら言う。
その後タクシーが来て乗り込んだこと、理由は思い出せないまでも、コンビニに寄ったことは覚えているがもはや記憶も飛び飛びである。
俺の家はマンションだが、何号室か、なんて言った記憶、というか、ついた記憶すらない。
ましてや、
その半田が隣に寝ているなど、この俺が知る由もない。
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