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カツアゲか...。くだらないな...。
普通なら絶体絶命とも言えるピンチに、何故か俺は冷めていた。
「俺より年上の奴が、年下に金もらうなんて、凄くダサいっすよ」
そう、俺が鼻で笑うと、わかり易いほどに怒った男達。
「んだと、てめぇ...!!」
真ん中の真っ赤な顔で拳を振り上げた男の懐に飛び込み、1発。
男は後ろのポリタンクの方に倒れ、盛大な音をあげた。
「お前...ッ!なにしやが......ッぐは、ッ!」
左右の男達は、一瞬なにかわからない顔をしていたが、我にかえると俺に殴りかかってきた。
その拳を交わして、腹に1発。もう1人には回し蹴りを食らわせたところで、あっという間に勝負がついた。
親が政治家という立場のせいで危険な目に会う危険性がある俺は、幼少期からある程度の武術は身につけている。
まさか、実践で使うなんて...しかも それもこんな幼稚な喧嘩で使うなんて思わなかったが。
「くだらない...。」
地面に転がる男達を眺めながら、冷めた目で小さく呟いた。
木戸がいた時は明るく見えていたこの世界が、居なくなった途端にくすんで見える。
初めて、自分自身を見てくれた人。
初めて、好きになった人。
初めて、本音でぶつかる事ができた人。
そんな人をなくして、俺はこの先どうすればいいのだろうか。
木戸が居なくなった事で出来た、胸の大きな穴には、これから一生...なにをしても埋まらない気がした...
別に、医者を責めるつもりはない。...どうにもならない事だってあるのだと、それぐらいわかっている。だけど...
俺が、あの時家に帰らず、木戸の傍にいたら...。
せめて、最後のその瞬間を看取ることが出来たんじゃないか...。
ついえることのない後悔の波が、ずっと襲ってくる。
俺は、真っ暗な空を見上げ、ため息を吐いた。
俺も、死んでしまいたい...。
でもな、死ぬのが怖いんだ。木戸がいない世界なんか意味のないはずなのに、死ぬのが 怖い...。
ほんと、情なさすぎて笑えるだろ...?
「...君、凄く強いんだな。」
後悔に押し潰されそうになってた時。
聞こえて来たのは、綺麗な声...。
声の先に視線を向けると、そこには
白金(プラチナ)色の髪と瞳をした、少女とも間違ってしまいそうな儚くて綺麗な少年が立っていた。
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