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異変
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翌朝。
「あれっ?谷村は??」
「あぁ、さっき病院行くって、出てったけど。」
同僚の返事に俺は軽く固まった。
―へっ?
病院だって…?
昨日しっかり呑んで食って。
病気のビの字すら、感じさせなかったのにか!?
「アイツ、どっか悪いのか?」
「なんか、酷い目眩と頭痛がするらしい。」
「二日酔いじゃなくてか!?」
「ああ、目覚めてからずっとグルグルして、スゲー気持ちが悪いんだと。言ってる顔が、ヤバい位真っ青だった。」
「マジっすか!?」
思わず振り返って、課長に訊いてしまった。
「とにかく、あの様子じゃあ、今日は使いもんになりそうになかったからな…オレがエントランスまで連れてって、幡池が車に乗せて、病院まで送ってった。」
「そうッスか。」
俺はトイレに立ったついでに
『大丈夫か?何かあったら、いつでも電話してこい。』
とメールをいれた。
************
あれからかなり時間が経った。
てか、もう昼だぞ!?
「なぁ、谷村は?」
チェックの進まない価格変更表を放り出して、訊いてみた。
「さぁな。でも、今日はムリだろ。」
あっさり言った同僚の言葉に俺は頷いた。
―病院てヤツは、やたらと待たされる。初診なら特にだよなぁ。
だが、しかし!
俺たちが心配してるってのに。一言くらい何かあっても良いんじゃね?
それが、社会人としてのマナーだろ!
―いや。
アイツは何かとムダにマメな性格だ。
もしかしたら、スマホを見るのもツラいほど、ひどい体調なのかもしれねぇ。
そう考えると、居ても立ってもいられなくなった俺は、デスクに座り直し、パソコンを立ち上げた。
「おい、山中。今頃パソコン開いて、何やってる?昼飯、食いに出ないのか?」
財布を取りにきた課長が、ヒョイと画面を覗き込んだ。
「なになに。目眩と頭痛のビョーキ?…谷村のことか。今頃、検査の真っ最中じゃないか?」
ええええっ!?
「け、検査、って何のッスか!?」
自慢じゃないが、採血されんのが、死ぬほど怖い俺は、青ざめながら訊いていた。
「そりゃあ、色々あんだろ?耳とか、目とか。あとは…そうだな。脳とか?」
―脳!!
一瞬、パカッと開けられた頭を思い浮かべちまった俺は、ゾッとして、思わず立ちあがった。
「まあ、気持ち悪いとは言ってたが。…吐いてはなかったし。呂律もしっかりしてたからな。取り敢えず、ソッチは、大丈夫だろ。」
ポンと肩を叩かれて、やっと普通に息が吸えた。
「谷村が抜けた分、昼からも頼むぞ。」
「任せといて下さいよ。」
俺は課長に請け合うと、その足で牛丼屋へ直行した。
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