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交換条件
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「はあっ?!そんな、無茶苦茶な!」
上松さんの言い出したことに、俺は開いた口が塞がらなかった。
谷村に車を借りる代わりに、俺が谷村の勧める保険に入るという
どう考えたって、有り得ない交換条件だ。
「そうか?困った時はお互い様。ワシも助かるし、山ちゃんかて、保険屋くんかて、助かって全員貸し借りなし。つまりは、コレがベストな方法やんか。」
「はぁ、まあ。確かにそう言えないこともないですけども…。」
チラと谷村は俺を見て、さすがにバツが悪そうな顔をした。
ーああ、真っ平御免だぜ。
だれがおまえん所の保険になんか、入ってやるかよ!
だが、今は急場だ。
後で俺が適当に誰か一人、谷村に紹介してやれば、上松さんだって、文句は無い筈。
俺はそう独り決めして頷くと、2人を急かした。
「とにかく、早く出ましょう」
》》》》
積み込みを手伝いながらも、俺はどうしてもツッコミを入れずには、いられなかった。
「おまえさ。どうして、こんなバカデカい車に乗ってんだよ。」
谷村の車は、ランクルみたいな感じで。後部がトラックみたいな荷台になっていた。
「どう見たって、営業が乗る車種じゃねぇだろ。」
「兄が貸してくれたんですよ。」
「にしたってさ、これじゃ、なかなか停めれねぇじゃん?」
「だから、こういう、工場とかを重点的に回ってるんすよ。意外に、話のネタにもなるし。」
「ふぅん。」
「なんや。山ちゃん、知り合いやったんか?」
「まさか。俺に保険屋の知り合いは居ないッスよ。」
上松さんを軽く躱して、俺は一人営業車へと向かった。
「じゃ、よろしくお願いします。」
どちらへともなく頭を下げ、その場を後にした。
ー疲れた。
職場に帰り着くと、なぜか重い溜息が出た。
ーあ、そうか。
保険か…
アイツになんざ、今後一切、かかわりたかねえしな。
考えるのも、メンドイと
それきり、忘れていたその約束を果たしに、谷村が電話をかけてきたのは、それから1週間後のことだった。
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