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わかりきった結末 side T
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『おかしい』
最初に自分の心に異変を感じたのは、合コンの帰り道だった。
山中先輩が先に帰ったらしいときかされた瞬間、何だかワケが分からない激しい気持ちが込み上げた。
今思えば、それは、見知らぬ女に対して、じゃなかった。
オレは先に帰ると山中さんに耳打ちされた幡池先輩に、だった。
つまり。
オレは、同性の知り合いに対して、嫉妬したのだ。
ちょうど彼女と別れたばかりだったオレは、妙なイライラを抱えたまま、休日を過ごすことになった。
そして月曜。
合コンの戦果について、トンチンカンな事を言ってからかってくる先輩にもムカついたけど
一番腹立たしかったのは、自分自身に対してだ。
『別に。ほっとけば良いじゃん。なにイチイチ嫌味言ってんだよ。バカじゃね?』
だが、冷静になろうとすればするほど、捻くれた言動が止まらない。
『どうしちゃったんだろ…?』
マイナス思考のループに囚われて、半分おかしくなりかかっていた時
「おい。終わったら飲みに行こうぜ。」
今の今までムカついてた相手のたった一言で、物凄く救われた気分になった。
『なんだコレ?』
分からない。
でも、ウソみたいに、体が軽い。
心があたたかい。
でも、フワフワと良い気分は、一人の男にぶちこわされた。
和泉。
山中さんの数少ない同期の一人だ。
「どうしてんのかね。」
同情? 心配?
眉を下げたまま、ビールを飲む先輩の姿に、胸が焦げる。
居ない相手に、ムカムカする。
「北海道の研修旅行には来るらしいから、たのしみだな。」
『なんだと?』
よし。
どんなヤツかとっくり見てやろう。
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