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匡介side
「…にしてもコイツ綺麗な顔してんなぁ。」
匡介はさっき押し付けられたカルテを再度見てみた。
大きくてパッチリとした緋色の右眼。
スッと伸びたしなやかな鼻。
きめ細やかな白い肌。
形の整った薄い唇。
写真を見ただけだが、とても綺麗で。
まるでフランス人形のような…。
普段物や人を褒めたりしない匡介だが、この時は
自然とそう思った。
「名前は…っと……辻村 琉樹(つじむら るき)か……。」
カルテによると、少年の名前は辻村 琉樹(つじむら るき)。
何故か年齢の欄に16歳前後?と記されている。
生年月日の欄に至っては不明の二文字。
「コイツ、自分の生まれた日を知らないのか?
まぁ納得だな。こんな環境で育ちゃ。」
匡介はカルテに付属してある資料を見た。
精神科病棟にいる患者は何かしら事情を抱えている者がほとんどなので、
患者には内緒にしているが、桜花病院専属の探偵が2名在籍している。
それが精神科医兼小児科医の沢口悠(さわぐちゆう)と、沢口雪歩(さわぐちゆきほ)。
桜花病院は精神科専門の病院のため、小児科はもちろんないのだが、
この桜花病院では特に未成年の患者を多く受け入れているため、
全体で見てみても未成年の患者の方が明らかに多い。
そのため、もしもの時に迅速な対応が取れるように小児科医がいるという話になった際、
自分の幼馴染で精神科医と小児科医の資格を持っている沢口兄弟を呼べばいいのではと思い、
提案し、今に至る。
2人は双子の兄弟で、兄が悠、弟が雪歩だ。
彼らは、一卵性の双子のためそっくりな顔つきをしているが、
2人揃ってその甘いマスクと完璧とも言える仕事ぶりで患者からの人気が高い。
ちなみに彼らが桜花病院専属の探偵であるということは、
病院内の一部の人間しか知らない。
「あいつら相変わらず手が早いなー。」
幼馴染みの2人の探偵の的確な仕事ぶりに感心しながら、
「コイツぜってぇめんどくさいよな〜。」
とは言っているが、
いたって楽しそうに精神科病棟へと足を進める匡介だった。
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