アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
7
-
匡介side
カッカッ
「っと、ここだな。305号室は。」
先ほども説明したが、
桜花病院は精神科専門の珍しい病院で、
比較的症状が軽い患者は地上1階と2階の解放病棟へ入れられるのだが、
幻覚や幻聴、自傷行為、精神的に異常がみられる症状が重い患者は、
地下1階から3階まである閉鎖病棟へ入れられる。
ちなみに解放病棟では患者の意思を尊重し、
基本的に患者は自由に行動できるようになっている。
その際腕にブレスレットのようなものをつけてもらい、
万が一患者の行方が分からなくなった時に発見できるようにしてあるのだ。
一方閉鎖病棟の患者は1人に対して一部屋を与え、
24時間体制で脱走あるいは自殺、自傷行為等に及ばないように監視されている。
琉樹は症状が特に重く、
閉鎖病棟の中でも特に厳重に警備、監視されている地下3階の角部屋に居た。
閉鎖病棟の地下3階にあたる全部屋は琉樹のような特に症状が重い患者が入院しているため、
24時間の監視に加えて、
部屋は鉄格子でできており、
窓は一つもない。
天井は比較的高めに作られており、
必要最低限のもの以外はなにもない。
小さなライトはあるが、
絶対に届かないような位置に設置されている。
ハゲオヤジの話によると、
琉樹の部屋のみ、扉に厳重なロックを何重にもかけているという。
それがなぜなのかは分からないが、
とりあえず本人に会ってみようと思い、
来てみたのはいいものの、当の本人は今この部屋にいないのか、
扉横の金庫あたりに'外出中'と丁寧な文字で書かれている。
なぜ金庫?と思いながら5分ほど待ってみたが、琉樹が帰ってくる気配はいっこうにない。
「仕方ねぇ。今日のところは出直すか。」
匡介は方向転換して、高級ブランドの靴をコツコツ鳴らして帰って行った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
8 / 10