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歌の11。まだ早い
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後ろの正面はまだ早い
「本当に身に覚えがないんです!」
いきなり突きつけられた借用書
見知らぬ人物からの
自分宛の借金
「この方は長年付き合いのある方だ。君なんかより余程信頼のおける人物だ」
厳しい表情で見据える
「本当なんだ!信じてくれ!」
いつも自分を信じてついてきてくれた彼女は
「別に借金があっても良かった。一緒に返せば良いから。でも隠してほしくはなかった」
絶望と
「あの顔だ」
母親が父親を見捨てたとき
「どいつも俺を見下しやがって!」
「やあ、久し振りだね」
指定された場所に行くと
二度と足を踏み入れたくなかった
「鳥井村…」
「鬼島君久し振り!」
名主と共に居たのは
「誠史…」
自分を犯したあの男
「この間見かけて直ぐに分かったよ!相変わらず格好いいね!」
「お前は相変わらず気持ち悪い!」
嫌悪感をむき出しにするも
誠史は気にも止めず
「今度詩織と結婚することになったんだ!」
「嬉しそうに結婚報告をする」
「俺には関係ない。それより借金の話をしてくださいますか?」
誠史を肩で突飛ばし
中に入る
「生意気なガキなのは変わらずか…」
夏輝が庇いながら悪態を吐く
「仕方がないよ。でもこれからだ」
自分に相応しい花嫁にする
「この借金だが、正確には君の借金ではない」
「まさか両親ですか?」
ぎりりと歯軋りする
「ああ。ご両親は二人とも行方が分からなくてね」
「俺には関係ない!」
去ろうとしたが
「まあ君にもただ借金の返済だけでは可哀想だ」
彼女の写真を出す
「聞けば君もこの可愛らしいお嬢さんとの結婚を控えていたね」
「それが何か?」
怒りの表情の鬼島に
「君がほんの一週間、誠史と結婚ごっこをしてくれれば良い。そうすれば借金はなかったことになり、君達の結婚の費用も式場も私が用意しよう」
「あ!誠史さん!お客さんのお食事なら僕が!」
「いやいやいや!ひっくり返したら…じゃなっかった…俺が持っていくよ!」
食事の膳を持とうとした鬼手の代わりに
誠史が持っていく
「お待たせ。今日は和食だよ」
座敷牢に閉じ込められた鬼島に誠史が膳を出す
「分かってんのか?これは犯罪だぞ!今なら訴えないから出せよ!」
「別に閉じ込めたくてやっているわけじゃないんだ。本当に一週間我慢してくれるだけで良いんだ」
膳を置くも
鬼島は食事に手をつけず
「俺をさっさと帰せ!借金は働いて返す!」
誠史を睨んだ
「誠史。お前顔色悪いぞ?」
少しやつれた誠史を心配する剛志
「あいつはまた拒否しているんだろ?」
幸一もため息を吐く
「やはりダメだったか」
宗巳が重蔵を見る
「始末するか?」
「いや、そうすれば誠史は益々落ち込む」
「誠史も厄介な相手を好きになったもんだ」
「誠史」
「夏兄」
「お前重蔵さんを困らせているって?」
誠史の隣に座り
肩を組む
「ごめん。でも鬼島君の事は忘れられなくて…」
「悪い子だ」
ぞくんっ
「夏兄…」
「お前はいつからそんな悪い子になった?」
「ひぃ…夏兄ごめんなさい!」
慌てて謝罪するも
夏輝は冷たい眼差しのままで
「俺はお前は可愛い弟だと信じていたのに」
「ごめんなさい!ごめんなさい!」
夏輝にすがり付く
「言うことを聞きます!」
夏輝の差し出したペニスにしゃぶりつく
「あんな奴にお前のおしゃぶりなんて勿体無い」
頭を撫で
立たせる
「分かるな?誠史」
机に上半身を預け
腰を掲げさせる
「はい、夏兄。俺はこの村の狸です」
ずっ
「あうっ!鬼の花嫁をしつけて…」
ずちゅっ
「んんっ!言うことを聞かせます!」
「言うことを聞かなかったら?」
「はあ…始末…します」
涙を落とす
「例え大事な人でも…掟を遵守しますぅ…」
「聞きましたか?重蔵さん」
「ああ。だが可哀想に。泣いてしまっているじゃないか」
泣き出した誠史を呼び寄せる
「夏輝がいじめすぎたな」
「んむぅ…」
出されたペニスを夢中でしゃぶる
「はふ…」
「私とて可愛い誠史を苦しめたくはない」
ぐちゅっ
「んんう!」
濡れたアヌスに夏輝の指が潜り込む
「皆がお前を心配してくれている」
「ふぁい…」
ぐちゅっ
ぐちゅっ
「あああっ!もっと欲しいです!重蔵さんもちょうだい!」
「ああ、良いとも可愛い誠史」
そそりたつ剛直を埋め込まれ
「ああああーっ!」
歓喜の声を上げる
「ひゃあっ!ああっ!ああーっ!」
ずぷっ
ずちゅっ
ずちゅっ
「あううっ!」
「良い子だ誠史」
舌で誠史の唇をなぞる
「ぁ…夏兄」
夏輝に
自身も舌を出す
「んふうぅ…」
とろけた眼差しを見せ
腰を振る
「もう一度。もう一度だけチャンスをやろう」
それであの男の運命が決まる
ぎぃい
「やあ。気持ちは変わったかい?」
数日振りに現れた重蔵
「もう許してください!」
誰かに殴られたのか痣の残る顔
「酷い!誰がこんなことを!」
「俺。こいつムカつくから」
事も無げに剛志が言う
「何で!」
怒りを向ける誠史に
「お前の為だよ。こいつがうんと言うまで痛め付けてやろうと思ったんだ」
「ふざけるな!こんなことをしたら誰だって頑なになる!」
「誠史の言う通りだ。剛志、下がりなさい。彼には後から謝罪しなさい」
「はい…すみません」
ふてくされた様子で出ていく
「ごめん…」
剛志に小声で謝罪する
「謝んな。それよりしっかりしつけろ」
「これは不本意だった」
誠史が薬箱を持って来て手当てをしようとするも
鬼島は拒否をする
「鬼島君。誠史は優しくて良い子だ。君を大切にしてくれる。剛志は近付けさせない。これが最後の頼みだ」
重蔵が頭を下げ
「お願いします!君がずっと好きなんだ!」
誠史も一生懸命頼み込むが
「許して…ください…」
「ゃ…」
「他のどんなことでもします…」
「止めて…」
「こいつと結婚だけは嫌だ!」
プツンッ
左小指の赤い糸が切れる音がした
「き…さま…私がこうして頭を下げてやっているのに!」
怒る重蔵の横
「もういい…」
ひゅんっ
ごりっ
「ぎゃあっ!」
誠史が足で鬼島の顔面を蹴り
頭を踏みにじる
「お前なんか要らない」
冷たく見下ろす
「重蔵さん、わがままをいって申し訳ありませんでした。和臣と結婚します」
涙を滲ませた誠史に
「力になれなくてすまなかった」
重蔵の怒りが収まる
「ひぃ…ひぃ…」
顔面を押さえ呻く鬼島に
「お前の処分は直ぐに決める。誠史の決断を楽しみにすると良い」
残酷な宣言を下した
「誠史!」
とぼとぼと歩いていた誠史に和臣が駆け寄る
「ごめん和臣。お前しかいなくなった。本当にごめん」
「気にするなって!尻の下に敷いてやるから」冗談で慰める
「和臣は優しいね」
涙を滲ませたまま笑う
「どうせ高校を卒業したらこの村は出ていくし!」
「そうだね。寂しくなる」
きっと夏輝が反対するだろうが
「俺は和臣は村を出た方がいいと思う」
可愛い弟は鳥籠に居させたくない
でもその前に
「詩織に会いたい」
あの笑顔に癒されたい
愛されているのだと感じたい
三日後
「傷心のところ悪いが…」
詩織の家で詩織に甘えていた誠史を引き剥がす
「ああ~!詩織~!」
「いってらっしゃーい!私も仕事に行ってくるね!」
さっさと出かける詩織に
「待って!行ってきますのチューが欲しい!」
「もう仕方がないなあ」
キスをしようとするが
「あんまり見ないでくれます?詩織のキス顔もきれいだから見せたくない」
「この…」
ごん
「あいたたた…」
「ったく!いつまでも詩織に甘えてんじゃねーよ!」
「あいつも仕事があるだろう!」
「有給使って休んでくれた」
「おいいーっ!」
「代わりにマッサージをしたんだ。気持ちいいってすごく喜んでくれて!」
「お前馬鹿だろう?」
「そのマッサージ後で教えろ。俺も芳実にする」
「幸、俺じゃなくて?」
「私も教えてくれないか?今夜はみったんと…ぐふふふ!」
「きもっ!」
集会所に狸が集まり
「お前はいつまでもメソメソと詩織ちゃんに泣きついてるんだ!」
「少し羨ましい!」
誠史を叱った
「すみません…」
「それよりあの鬼島の始末だが」
本題にはいる
「どうする?」
「生け贄にするほどの重罪じゃないからな」
「あそこに売るのは?」
「鬼手君の件であそことは手を切っている」
いろんな案が出るなか
「そういえばポチと太郎が年頃でしたよね?」
誠史が猟師に尋ねる
「ああ。最近雄同士で互いの尻を狙っている」
「何かやだなあ…ケダモノ…」
「私を見るな!」
思わず重蔵を見てしまう
「じゃあポチと太郎のお嫁さんということで!」
「お前がそれで良いなら」
誠史は笑顔で
「言う事を聞かない奴はお仕置きだ」
座敷牢に向かう犬達を眺めた
一年後
「もう一度仕切り直しだ」
鬼頭竜也ろ和臣が祭りの邪魔をし
和臣は事故に遭い
実の兄夏輝によって始末された
不幸事が重なり結婚式も延期された
「トリから新しい花嫁の提示がされた」
「幸一も義理堅いね」
親友思いの男だと笑う
「名前は鬼道蒼太。大学生だ」
「可愛いね」
お世辞のような感想を述べる
「今度はちゃんと躾ろよ」
「うん…でも幸みたいには酷くしたくないなあ」
写真の中の青年は素直そうで
「きっと彼は良い子だよ」
今は入院中の鬼手のように
「大切にするよ。…でも…」
言う事を聞かなかったら
「井戸に落としてやる!」
現在
「へえー!誠史さんて子供の時から変わってないんですね!」
「そうだよ!」
元弥が押す車イスの蒼太が誰かと話す
「蒼太!…宏樹さん?」
「久し振り!」
にこやかに笑うその顔には面影があり
「犬飼市に来たから、ここにも遊びに来た」
懐かしそうに見渡す
「誠史の自慢の奥さんとも偶然会って」
「誠史さんの初めての男性と本妻の偶然を装った出会い…嵐の予感が…」
「元弥君…」
「そこまでは企んでない…」
妄想でニヤつく元弥に
宏樹も笑う
「そういえば宏樹さんは何の病気だったんですか?」
病気療養のために来たといって滞在費を稼ぐために働いていた
「ああセックス依存症。ガキの時にレイプされて癖になった」
所構わず男を求めてしまい
自殺まで考えたと言う
「偶然雇い主がじいさんの知り合いで紹介してもらったんだ」
好きなときに相手をしてもらい
感情を吐き出し
治療をしていたと言う
「大変でしたね」
「そうでもないさ。ここはみんな優しいし、こいつらもいたし」
誠史に笑いかける
「鳥刺君もここで療養していたし」
毎晩のように悪夢にうなされ銃が手放せなかった今ではぐっすりと眠るようになった
「君の足も改善すると良いね」
「あ…はい…」
俯いた蒼太
「ごめん…余計なことを言った?」
宏樹が申し訳なさそうに言う
「大丈夫です。俺がいるから」
優しく微笑むと
蒼太も微笑む
「二人は仲が良いね」
「はい。でももうすぐ嵐が…」
「起きないから!起こさないから!」
「本当にもう…とポチと太郎だ」
元弥の妄想に呆れていると目の前を散歩していく猟犬達
「あいつらまだいるの?」
「あれは子供だよ。代々ポチと太郎」
「他に名前は無いのか…と…あの人も療養中?」
鎖に繋がれ
全裸のまま四つん這いで散歩をする男
「さあ?いつの間にか居ましたね」
誠史は素っ気なく答える
「へへ…ザマアミロ誠史…お前の花嫁になんかなるものか…」
涙を流しながら移動する男に
ひゅんっ
こんっ
「あつっ!」
石を投げる
「蒼太さん!どうしたんですか?」
蒼太
「何かあの変態が誠史さんを呼んだ気がした」
怒りを見せる蒼太
「気のせいだよ。もう、やきもちやきだな!」
嬉しそうに蒼太を抱き締める
「薄汚い野良犬!」
蒼太はずっと男を睨む
「お前なんかより俺の方が誠史さんに相応しい!」
勝ち誇った様に笑う
「ぎひっ!」
その様子を眺めていた宏樹が笑う
「囲え囲った」
狸と鬼と
「言う事を聞いた狸にご褒美だ!」
井戸のなかの鬼が嗤った
終わり
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