アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
鍵
-
「今日、やっぱ草薙の家に泊めてくれない?」
そう連絡が入ったのは、夜中の2時。
ドタキャンしといて、勝手だと、普通は怒るのだろうか。
俺は、戻ってきたことに安心する。
「いいけど、混んでるんで店閉まるまでもうちょい時間かかりますよ」
どうしようかなぁ、と悩む電話の向こうの声。
自分の家に帰らないのは、理由があるんだろう。遊んだ相手が厄介なやつだったとか。
「今どこ?」
「草薙の店の近くで飲んでたよ」
「じゃあそのままうちの店に来てください。家の鍵渡すんで」
「え、鍵とかいいよ」
若干、迷惑そうに言うのは重いと思ったからだろう。
扱い辛い。
こんな人を好きになってしまったのは俺だから、仕方ないけど。
「家に帰れない事情があるんでしょ。俺ん家ならセキュリティマンションだしストーカーに特定されても困らないですよ」
「その、お見通しって感じむかつく」
むかつく、と言ってる割に、いつもの調子でケラケラ笑う。
そろそろ店に戻らなきゃならない。
「じゃあ、鍵取りに来てくださいね」
一方的にそう伝えて、電話を切った。
あなたに恋愛感情はさらさらありません。
そう振舞わなければ、この関係は終わってしまう。
それでもどう繋ぎ止めてもらえるか、そればかり考えてしまう。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
44 / 75