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鍵
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今回のストーカー男とは、どこかのバーで知り合ったと、蒼羽さんは話し始めた。
相手から声をかけられ、顔も体も悪くなさそうだということで応じたらしい。
相性はそれなりに良く、連絡先を交換して、たまに会っていた所で相手が頻繁に会うことを要求しだし、さらに自分とだけ付き合って欲しいと言ってきたらしい。
こういう人だとわかっていても、話を聞いてると、だんだんムカついてくる。
この体に、他の奴も触れてるなんて。
ただそれを表に出すと、俺もストーカーの二の舞だ。
「で、そうなるなら、さよならって約束だよね。はい、さよならって言ったら殴りかかってきてさー」
「そりゃそうでしょ。なんでもっと上手く断れないんですか」
「えー。とことん嫌な奴の方が相手も引きづらないじゃーん。中途半端に優しい奴より僕はよっぽどやさしいっての」
今の調子で、その時も小馬鹿にしたようにいつもの笑顔をしていたんだろう。
殴るのはどうかと思うけど、ムカつくのはわかる。
ただ、こんな人ってのはわかってただろうに。バカな奴。
「それから尾けられるようになったんですね。まぁ、職場がバレてないのがせめてもの救いですね」
「家なんてどーやって知ったんだろうね」
「酔って連れ込んだんじゃないの」
「僕が?ないでしょー」
その言葉を聞いて、ほっとする。
そこまで気を許してたなんて、さすがにないらしい。
「とにかく、家を知られたならそこから職場まで尾けられますよ。営業中に殴り込みとかされたらシャレにならないでしょ。
しばらくうちに泊まります?」
うちなら、しばらくはストーカーを撒けるだろうしその間に相手が飽きてくれたらいい。
何かあっても守ってやれる。
中々の名案だと思うけど、蒼羽さんは否定も肯定もせず、いつもの愛想笑いをするだけだった。
「とりあえず合鍵は渡しときます」
机の上に、今日預けて返してもらったばかりの合鍵を置いて、眠そうにしてる蒼羽さんの前髪を撫でた。
それから、一服して俺も眠りにつく。
朝起きたら、蒼羽さんはいなく、鍵は机の上に置かれたままだった。
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