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「知佳ちゃんのID…ゲット…しちゃった…」
呆然とスマホを握りしめる吉田はどうしようとぶつぶつ呟いている。
「兄弟でだしにしちゃったみたいでごめんな。
でも吉田うじうじうざくて。」
「だって…嫌われたくねぇじゃん…。
嫌われたら、俺だって傷付くしさ。
嫌われる勇気はない…。」
きゃっきゃっとグループで楽しそうに話に花を咲かせている知佳ちゃんは肩に着く程の髪をふんわり揺らしていた。
そんな彼女を向かいで可愛いよなと独り言る吉田。
吉田の様に女の子を好きだと思った事はあっただろうか。
勿論可愛いとは思う。
だが、そこから一歩踏み越えた感情を抱いた事はあったか。
流行りのアイドルを見れば可愛いとは思う。
でも、それ以上でも以下でもない。
特別な感情はない。
もっとドロドロした感情なら知っている。
昼間だと言うのに薄暗い空は自分の気持ちの様に淀んでいた。
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