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37 正宗
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それから風呂に入って、自分で抜いた。
自分で触る度兄貴の手の感触を思い出し、涙が溢れてくる。
きっと嫌われた。
もう触ってもらえないかもしれない。
笑いかけてくれないかもしれない。
俺の料理も食べてくれないかも…
「うっ……」
流れる涙をシャワーで流した。
風呂から上がるとリビングに兄貴の姿はない。
部屋に戻った様子はない。
「出ていった、か。まぁこんな弟と一緒にはいられないよな……。」
自分の部屋に行くと灯がまだまだついていた。
「なんだ、まだ起きてたのか。」
響は床に座り、申し訳なさそうにこちらを見ている。
「聞いていたのか?」
「……ごめん。」
「…うるさくして悪かったな。もう寝よう。」
俺は電気を消す。
響はきっと、自分が兄貴を挑発したからこんな事になったのだと思ってる。
でもそれは違う。
兄貴と響のアレはいつもの事だし、兄貴も本気で響を嫌いな訳じゃない。
兄貴を怒らせたのは、俺だ。
「うっ……くっ………」
この晩俺は息をこらえて泣き続け、結局一睡も出来なかった。
そして、朝になっても兄貴は帰って来なかった。
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