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61 正宗
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数日後
学校から帰るとリビングから凄くいい匂いがした。
「ただいま。」
玄関で靴を脱いでいると慌てたように兄貴がリビングから飛び出てきた。
「まさ、今日帰って来るの早くないか?」
「あぁ、今日は部活が早く終わって…。」
なんだか兄貴の様子がおかしい。
「兄貴、どうかしたか?」
「…いや、なんでもない。まさは自分の部屋に戻ってて。呼ぶまででてきたらだめだぞ。」
「なんで…」
「いいからっ!」
俺は部屋に強引に入れられた。
仕方なく勉強をしながら兄貴に呼ばれるのを待つ。
すると突然ノックもなしに部屋の扉が開いた。
「兄さん、もう行っていいのか?」
「あ、あぁ。」
なんだ、兄貴はなんだかそわそわしている。
らしくないな。
「と、とりあえず来い!!」
「はぁ?」
グイッと腕を引っ張られる。
一体なんなんだ。
何も分からないまま仕方なく兄貴の後ろを歩く。
「……。」
「……。」
無言のまま兄貴とリビングへ。
「……え…?」
テーブルにはご馳走のような料理が並べられていた。
「なに…これ。」
「まさ、今日誕生日だろ?」
「…あ」
兄貴が作ってくれたのか?
久々の兄貴の料理。
俺の為に作ってくれた。
嬉しい。
昔は兄貴が料理作ってくれていた。
でも兄貴には料理の才能は無かったみたいで、いつの間にか俺が料理を作るようになっていた。
「瀬名は…この前来てた奴に料理教えて貰ったんだ。」
「え…あ、そうなんだ……。」
瀬名さんって言うのか。
さっきまで凄く嬉しかったのに、兄貴と瀬名さんが一緒に並んで料理している姿を想像すると気分は重くなった。
よっぽど辛そうな顔をしてしまっていたのだろうか。
「…まさ?…ごめん、迷惑だったか?」
兄貴に辛そうな顔をさせてしまう。
「違う…凄い、嬉しい。」
「…まさ、ごめん。いつも兄ちゃんはまさを悲しませてばかりだな。」
「ちがっ…」
そんな事ない…俺の方がいつも兄貴を困らせてる。
「兄ちゃんにはまさがどうして悲しい顔するのか、分からない。だから、ちゃんと教えて?」
まっすぐ、真剣な目で見つめられる。
目が、逸らせない。
「……嫉妬…した。…ごめん。」
「…え、誰に?」
「瀬名さん…昨日、兄さんと腕組んでるの見た。今日も仲よさそうだったし、瀬名さん可愛いし…。」
そう言えば兄貴はものすごく驚いたような顔をして
「ハハッ…そっか、…そっか。」
凄く嬉しそうに笑った。
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